文字の大きさ : [] [] []

2009年11月6日(金)「しんぶん赤旗」

プルサーマル始動 住民ら抗議

玄海町は実験場じゃない


 佐賀県玄海町にある九州電力の玄海原子力発電所3号機で5日、プルサーマル発電の試験運転を開始したことにたいし、佐賀県原発問題対策協議会や玄海原発対策住民会議は同日、眞鍋利應九電社長あてに、プルサーマル試験運転に抗議する申し入れを行いました。


写真

(写真)九電(手前)に抗議する玄海原発対策住民会議の藤浦会長(前列中央)ら=5日、佐賀県玄海町

 申し入れには、住民会議の藤浦皓会長(日本共産党玄海町議)ら10人とともに、日本共産党から浦田関夫唐津市議が参加しました。

 藤浦会長は、九電担当者らに、要請文を読み上げて、国策である高速増殖炉「もんじゅ」などの事故などにふれ、核燃料サイクル路線が破たんしていることを指摘し、「玄海町は実験場ではない」と強く抗議し中止することを求めました。

 また、九電と佐賀県や玄海町との安全協定にもとづき、3号機で使用するMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料の安全性への県民の不安と疑問に対し、説明会を開くことを求めました。

 両団体はその後、佐賀県や玄海町へも同様の申し入れをしました。


解説

処理困難な放射性物質が大量に

 九州電力が玄海原発で国内初のプルサーマルを開始したことは、原発に新たな危険と解決困難な問題を持ち込むことになりました。

 プルサーマルは、現在の原発(軽水炉=サーマルリアクター)で、プルトニウムを燃料として使う方式。原発の使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムを、ウランとの混合酸化物(MOX)燃料に加工して使います。

 自然界にほとんど存在しないプルトニウムは、きわめて毒性が強い物質です。プルトニウムを現在の原発の燃料として使用することは、もともと想定されていませんでした。

 MOX燃料を使用することで、通常のウラン燃料と比べて、原子炉のブレーキの役割を果たす制御棒の利きが悪くなったり、燃料破損の可能性が高くなると指摘されています。これまで耐震設計ミスや老朽化による重大事故を相次いで起こしてきた、技術的に未確立な原発の危険要因が、さらに増大します。

 プルサーマルを実施すると、燃えないプルトニウムや、処理の困難な放射性物質を大量に生み出します。そのため、使用済みMOX燃料は資源としての価値が低く、利用も廃棄もできない物質の管理という新たな難問をもたらします。

 政府と電力業界は、原発の燃料の節約になるといいます。しかし節約効果は10〜20%程度にすぎません。燃料加工費はウラン燃料よりも高くなります。

 電力業界は2015年度までに、伊方原発(愛媛県)、浜岡原発(静岡県)など全国の原発16〜18基で実施するとしています。原発の危険を増大させるプルサーマルは中止し、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す核燃料サイクル政策は、根本から見直すべきです。(中村秀生)



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp