2009年11月7日(土)「しんぶん赤旗」
米国産牛肉への危険部位の混入はなぜ?
〈問い〉 米国産輸入牛肉にBSE危険部位がまたも混入していました。日本共産党はこの問題をどう考えますか。(東京・一読者)
〈答え〉 タイソン社レキシントン工場から10月に輸入された米国産牛肉から、BSE(牛海綿状脳症)の原因物質がたまりやすく、輸入禁止の「特定危険部位」である脊柱(せきちゅう)の混入が判明しました。危険部位の混入違反はこれで3例目となります。タイソン社レキシントン工場からの輸入条件違反は、2007年2月に続いてこれで2回目となります。
06年6月の米国産牛肉の輸入再開以降、この3年4カ月で3件の危険部位の混入違反を含め、米国産牛肉の輸入条件違反で輸入差し止めとなった事件は13件に及びます。カーギル社ドッジシティー工場が3回の違反、このタイソン社レキシントン工場が2回の違反をおこなっています。同一工場で、なぜ違反が繰り返されるのでしょうか。それを解明したのが、『ノンコンプライアンス・レコード(日本向け米国食肉処理施設におけるBSE違反記録)』(紙智子事務所編)でした。
この記録に基づいてタイソン社レキシントン工場を見ると、同工場は06年4月に台湾に輸出禁止の骨を輸出しただけでなく、04年2月〜05年1月の間にトータルで13件ものBSE違反記録が発行されていました。その内容も月齢違反であったり、危険部位の除去をおこなっていなかったりと、重大な違反が続出していました。
米国の食肉処理施設は、巨大なタイソン社、カーギル社などの五大パッカーが寡占的に支配しています。その工場は、過剰な生産スピードと人員不足、移民労働者に依拠した劣悪な労使関係におかれています。そのためにこのような違反が繰り返されるのです。
日本共産党は、日本政府が米国政府に対して、日本と同様な全頭検査、全年齢牛からの危険部位の除去、飼料規制を求め、それが実現できなければ輸入を差し止める強い姿勢で臨むべきだと考えます。日本としても、輸入時の全ロット検査など検査体制の強化が必要です。(小)
〔2009・11・7(土)〕