2009年11月14日(土)「しんぶん赤旗」
取り調べの可視化は捜査に支障をきたす?
〈問い〉 取り調べの可視化は「捜査に支障をきたす」などという意見があります。日本共産党はどう考えますか。(富山・一読者)
〈答え〉 「可視化」とは、取り調べの全過程を録画などして、被疑者が取り調べで述べたこと(供述)が任意のものか、強制されたものかが裁判のなかで争いになったときに、関係者がその録画を視聴して判断できるようにしておくことです。
ですから、そもそも取り調べでの供述を被疑者が本当に任意におこなっていることが明らかなら、録画をされて困ることは何もないはずです。
それなのに警察はどうして録画されると「捜査に支障をきたす」などと言うのでしょうか。警察の言い分の第一は「被疑者との人間関係づくりが困難」だというのです。警察は、被疑者との間に人間的な信頼関係をつくって、何でもざっくばらんに話してもらえるようにするというのです。しかし、取調官と被疑者の間でそんなことができるのでしょうか。
実際には、被疑者がやってないとハッキリ言っているのに、「家族は、おまえがやったと言っている。早く自白せよ」とか「アリバイは崩れた。○さんはおまえなど来ていないと言っているぞ」「認めないといつまでも釈放されないぞ」などとウソや脅迫で被疑者を絶望に追い込み、ありもしない筋書きを「自白」させるのです。
足利事件の菅家さんは、「証拠はあがっている。おまえがやったんだろうといって、殴ったりけったり髪を引っ張ったりして自白させた」と語っています。ウソを言って自白を迫った証拠であるテープもいくつか出てきました。警察の本心は、こうした不当な脅迫や誘導ができなくなることを「捜査に支障」があると言っているのです。
警察は、一部の録画ならと言い始めていますが、自分に都合の悪い部分を隠した一部分の録画では、供述が任意かどうかの判断などはできません。
すでに参議院では、昨年6月と今年4月、全面可視化法案が可決されており、新政権のもとで、それを速やかに成立させることが急務です。(光)
〔2009・11・14(土)〕