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2009年11月17日(火)「しんぶん赤旗」

鳩山政権の“憲法解釈”発言

内閣判断で変更に道

海外での武力行使につながる危険


 鳩山由紀夫首相は集団的自衛権の行使をはじめとした憲法9条の解釈について「政府による憲法解釈についても内閣が責任をもって行う」(2日、衆院予算委)と発言しました。これを受けて、平野博文官房長官は「(憲法解釈の変更は)世界の情勢が大きく変わってきたとき、そういう事態が起こったときに、その時点で判断する」とのべました。(4日)

集団的自衛権も

 平野官房長官は5日の会見でさらに「憲法の解釈について、鳩山内閣においては、現時点では、解釈は従来と変えておりません」「政府内の憲法における解釈の判断は、時の閣僚によって構成する内閣によって判断する」と重ねてのべました。

 鳩山首相も、「現在の憲法9条の解釈をこの内閣において現在のところ変えるつもりはない」(4日、衆院予算委)と述べる一方、「集団的自衛権という言葉のもつあいまいさを払しょくさせ、別の考え方で日本自身の防衛のあり方を主張する時期をつくらなければならないのではないか」(同)としています。

 こうした発言の背景には、民主党が海外での武力行使につながる集団的自衛権の行使や、自衛隊の海外での武力行使を容認する立場を取っていることがあります。

 2006年末に小沢一郎代表(当時)のもとでまとめた「政権政策の基本方針(マグナカルタ)」で、武力行使を含む国連の集団安全保障活動に参加すると同時に「自衛権は、これまでの個別的・集団的といった概念上の議論に拘泥せず…行使する」として、集団的自衛権の行使を容認する立場を示しました。

 8月の総選挙の直前にまとめた「政策INDEX2009」でも同様の立場を示しています。

作業着手に言及

 民主党は、07年末に、政府与党のインド洋での給油継続法案への「対案」として提出した「アフガニスタン復興支援法案」で、自衛隊のアフガン本土派兵と武器使用基準の緩和を提起。同法案審議では、従来の憲法解釈との“矛盾”を指摘する自民党議員に対し、直嶋正行政調会長(当時、現・経済産業相)は、政権に就いた際には「(憲法解釈変更の)作業に着手する」と答えました。(昨年10月20日)

 同党の小沢一郎幹事長は、07年10月の代表当時、「私が政権を取って外交・安保政策を決定する立場になれば、ISAF(国際治安支援部隊)への参加を実現したい」と雑誌『世界』(同年11月号)で発言。前述のアフガン復興支援法案のとりまとめを主導し、「海外派兵恒久法」の早期制定を明記させました。

 小沢氏は、国会改革案の中で、内閣法制局長官の国会での答弁禁止を主張しています。

 内閣法制局は、自衛隊の海外派兵を容認する解釈改憲を続けてきました。一方で、集団的自衛権の行使や、あからさまな海外での武力行使は許されないという見解を示してきました。

 平野官房長官の発言は、法制局長官の答弁禁止にとどまらず「閣僚によって構成される内閣」で憲法解釈の変更ができるようにすることを示唆しています。(中祖寅一)



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