2009年11月21日(土)「しんぶん赤旗」
NGO環境会議が開幕
アジア・太平洋規模で交流
アジア地域での環境・公害問題の解決にとりくんでいる市民団体の代表らが集まり、経験や教訓を共有しようと第9回アジア・太平洋NGO環境会議が20日、京都市で始まりました。21日まで。
12月にデンマーク・コペンハーゲンで開催される国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)を前に、世界全体の3割を占めるアジア地域での温室効果ガスの排出削減をすすめ、持続可能なアジア発展の道筋を明らかにしようと開かれたもので、十数カ国100人余が参加しました。
タイ、インドネシア、中国、韓国、インド、マレーシアなどのとりくみが報告されたほか、立命館大学の森裕之教授、全国公害弁護団連絡会議代表の中島晃弁護士、池田直樹関西学院大学教授の3氏が日本の公害・環境問題を報告しました。
森教授は、2005年に明るみに出た尼崎市・クボタ旧神崎工場周辺住民のアスベスト公害について報告。企業だけでなくアスベストの危険性を認識しながら「規制権限を十分に行使しなかった政府に責任があり、アスベスト建材などの法的規制もきわめて不十分」と批判し、「これまでに発生したアスベスト被害と将来おこりうるアスベスト被害の両方に、政府と企業は重い責任を負っている」と強調しました。
中島弁護士は「公害被害者の事後救済から事前の差し止め」へ発展している日本の公害裁判と住民運動の教訓をくわしく報告。池田教授は「四日市大気汚染公害」の加害企業・石原産業による産業廃棄物の不法投棄問題を報告し、市民による監視活動の大切さを訴えました。
基調報告した同会議実行委員長の植田和弘京都大学大学院教授は、環境問題を原因までさかのぼって解決するには、市民のとりくみと環境NGOのネットワークとの協力が必要だと強調しました。
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