文字の大きさ : [] [] []

2009年11月23日(月)「しんぶん赤旗」

鳩山税制「改正」 ここが変

国民 扶養控除を廃止

大企業 優遇税制は温存


 鳩山新政権のもとで、政府税制調査会(会長・藤井裕久財務相)は、2010年度税制「改正」大綱の12月11日取りまとめをめざしています。本格化する議論から、大企業・大資産家優遇税制に触れず、庶民や中小企業に負担を押し付ける姿勢が浮かび上がってきました。(山田英明)


 子ども手当導入と同時に所得税の扶養控除を廃止するという発言を繰り返す峰崎直樹財務副大臣。扶養控除が廃止されれば、所得税増税の影響は保育料や公営住宅家賃の値上げなどにも及びます。

 子ども手当を支給されない家庭では、増税の痛みだけが押し付けられます。その上、住民税の扶養控除まで廃止されれば、国民健康保険料や医療費窓口負担などの引き上げにまで影響します。

 民主党はマニフェスト(政権公約)で、中小企業の法人税率(現行18%)を11%まで減税することを打ち出しました。ところが、中小企業に対するこの減税も「財源を確保しつつ、順次実施」(マニフェスト)と財源確保が前提。政府税調では税率引き下げの代わりに課税対象を増やす議論がされています。

 マニフェストに掲げた“目玉”の実現は、あくまでも庶民・中小企業増税による財源確保でという発想です。

手をつけず

 「聖域なく見直す」(峰崎氏、20日の記者会見)と語るわりに、大企業・大資産家優遇税制だけは依然、聖域です。

 経済産業省は研究開発減税の上乗せ措置の延長を要求。対象範囲の狭さから「上乗せ」は「認められない」と判断した財務省に対し、増子輝彦経産副大臣は20日の全体会合で、「国際競争力」を口実に強く反論しました。

 これには、峰崎氏も、「基本のところをやれといっているわけでない」(20日の記者会見)と強調。研究開発減税の本体は維持する考えを示しています。

 上場企業の株式譲渡益や配当に対する税金を優遇している証券優遇税制は、政府税調の議論の対象にすらなっていません。

消費税増も

 峰崎氏は、「所得税、法人税、消費税、そこに大胆に税率を上げるとか手をつけない限り、財源はほとんど出てこない」(17日の記者会見)と述べています。しかし、法人税率の引き上げは検討課題にものぼらず、所得税の最高税率引き上げも否定しています。

 大企業・大資産家優遇を是正できないツケは、結局、消費税増税でという発想が透けて見えます。

表


共産党の財源論

聖域にメスを

 日本共産党は、庶民増税に頼らなくても社会保障制度など暮らしを支えるための財源は生み出せると主張しています。

 5兆円規模に膨れ上がった軍事費の大幅削減、不要不急の大型公共事業の中止・延期など、歳出の無駄をただすことで約5兆円の財源が生み出せます。

 さらに大企業に能力に応じた適切な負担を求めることで約5兆円。証券優遇税制や所得税・相続税の最高税率見直しなど大資産家優遇税制の是正で、約2兆円の財源が確保できます。

 自公政権時代に聖域とされていた予算の無駄遣いや大企業・大資産家優遇税制をただせば、約12兆円もの財源を生み出すことが可能です。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp