2009年11月24日(火)「しんぶん赤旗」
認定適正化事業 厚労省、審査に介入
介護度引き下げ“誇る”
報告書で判明
厚生労働省が介護保険の「要介護認定適正化事業」の中で、要介護度の2次判定を行う各地の認定審査会に「介入」して、コンピューターによる1次判定を重度に変更する割合(重度変更率)を大幅に低下させ、その「効果」を誇っていました。本紙が入手した、同事業の2007年度版「報告書」(08年3月付)で分かりました。厚労省は来年度予算案の概算要求にも同事業を計上しており、鳩山政権の対応が問われます。
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重度変更率の低下は軽度の認定が増えることを意味し、サービス抑制につながります。
「認定適正化事業」では、「不適正」な認定を正すとの名目で、介護認定への「技術的助言」を行うとしています。厚労省は、同事業を三菱UFJ・リサーチ&コンサルティング株式会社に委託しています。「報告書」によれば、07年度には重度変更率が高いなどの理由で「78市町村等」を「技術的助言の必要性があると考えられる」と問題視して選定し、同社社員と厚労省職員を派遣しています。
社員らは、介護保険事業を扱う自治体の事務局に対して、コンピューター判定ですでに加味される情報は判定変更の理由にできないなど、多数の禁止事項を押し付けて、判定の変更を制限するよう“助言”。その“助言”を受けた事務局が介護認定審査会に「介入」しています。
「報告書」は、「適正化事業の効果」と題して17自治体の例をとりあげて表にしています。そこでは、全体の重度変更率が「介入前」の24・3%から「介入後」に21・9%に低下。特に大幅に低下した自治体―30%から21・2%、29・2%から21・7%、25・8%から17・4%など―を太字で強調。同事業を「(自治体の)事務局が(審査会への)介入を行う絶好の機会となった」と自賛しています。
同事業は、自公政権時代の07年度から毎年実施され、2年間で約3億円が投入されました。保健・医療・福祉の専門家が行う認定に対して行政が税金を使って大々的に「介入」し、高齢者への介護サービスを制限してきたことになります。
要介護認定 介護保険では、調査員が認定申請者の状態を聞き取り調査した情報をコンピューターに入力して1次判定。保健・医療・福祉の専門家で構成する介護認定審査会の2次判定で「要支援1、2」「要介護1〜5」の要介護度を決めます。
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