2009年11月24日(火)「しんぶん赤旗」
9条生きる日本に
福井でセミナー 大江・渡辺両氏講演
「九条の会」は23日、福井市の福井県県民ホールで第9回憲法セミナー「憲法9条が生きる日本に」を開き、「九条の会」呼びかけ人の一人で作家の大江健三郎氏と、同会事務局員で政治学者の渡辺治一橋大学教授が講演しました。会場いっぱいの550人が参加しました。
渡辺氏は「民主党政権と憲法9条の行方」と題し、「構造改革」に反対する「反貧困」の運動と「九条の会」をはじめ海外派兵反対の運動が世論を動かし、「自民党政権を追い詰めた」と指摘。民主党新政権のもとで「明文改憲はすぐには進められないが、憲法は変えずに自衛隊の海外派兵を進める解釈改憲の危険は高まっている」と強調し、「改憲阻止から憲法実現を求める運動に発展させよう」と提起しました。
大江氏は、イスラエル人指揮者・ピアニストのダニエル・バレンボイム氏が、イスラエルのパレスチナ弾圧を批判する活動をしていると紹介。「彼はイスラエルの独立宣言に“周囲の国を苦しめない”と書いてあるのを読んでいた。子どものころ一生懸命考えたことを忘れず実践している人がいる」と語りました。その上で、「私も、井上ひさしさんも、亡くなった加藤周一さんも、戦後の民主主義を守っていくという出発点があり、同じような人々の世界的なつながりがある」とのべました。
大江氏は、沖縄の問題で、軍による自決強制を書き換えようとする動きや、米軍の存在をそのままにしようという動きがあるとし、「戦後直後の民主主義から見て大きな後退だが、私たちの運動はこれを押し返しうるものだ」とのべました。
埼玉県から1人で来たという女性(23)は「戦争体験は読書などで疑似体験できるという渡辺さんの話は、これならできると思った。報道を受け身で聞くだけでなく、こういうところにもっと出ていきたい」と語りました。
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