2009年11月25日(水)「しんぶん赤旗」
自立支援法をなくすと困る人もいる?
〈問い〉精神障害の息子をもつ母親から「自立支援法をなくすと困る人もいる」と言われました。日本共産党の考えを教えてください。(千葉・一読者)
〈答え〉障害者自立支援法は、小泉内閣のときにすすめられた「構造改革」路線のもとで、社会保障費の削減のために導入されました。
以前は、障害者福祉の利用料は、所得に応じて支払う「応能負担」でした。通所施設や在宅の介助の利用料は9割の人が無料でした。それが自立支援法になり、障害者福祉には世界でも異例の所得に関係なく原則1割の定率の負担をする「応益負担」に改悪されました。「応益負担」は障害が重いほど負担がかさむ、過酷な制度です。
精神障害者の通院医療費は、自立支援法が導入される前は5%負担でしたが、「自立支援医療」で1割負担に改悪されて2倍になり、障害者から悲鳴があがりました。
自立支援法では、障害者団体の運動などで福祉の利用料の上限額を2度にわたって軽減させました。また“医療費は3割よりも自立支援医療の認定を受けて1割負担する方がまだましだ”などの思いから、自立支援法が廃止されたらこの先どうなってしまうのかという不安にかられて、“廃止されては困る”という人がいるのだと思います。
自立支援法の廃止は、障害者の福祉や医療をなくすことではなく、「応益負担」の廃止にみられるような障害者にさえ過酷な負担を課す、それまでの冷たい自・公政治との決別を意味することでもあります。自立支援法をなくして困る人は一人もいません。
障害者が生きていく最低限の支援にたいして、利用料を課すということは、障害を「自己責任」とみなすものです。
日本共産党は、本来、障害者に負担を求めるべきではないという立場から、「応益負担」をただちに撤廃し、福祉や医療の無料化をめざします。自立支援法を廃止し、難病などすべての障害のある人を対象とした総合的な「福祉法」を制定します。今後も障害者施策前進のために全力をあげていきます。(千)
〔2009・11・25(水)〕