文字の大きさ : [] [] []

2009年11月27日(金)「しんぶん赤旗」

米中首脳 COP15参加へ

温室ガス削減目標を提示


 地球温暖化の原因とされる温室効果ガス排出で世界1、2を占める中国と米国は25、26の両日、相次いで具体的な削減目標を提示、12月7日からコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に首脳が参加することを明らかにしました。


中国05年比40〜45%

GDP当たり 20年までに

 【北京=山田俊英】中国政府は26日、二酸化炭素(CO2)排出量を2020年までに国内総生産(GDP)単位当たりで05年比40〜45%削減する新目標を発表しました。12月にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に温家宝首相が出席することも発表されました。

 貧困克服のために経済成長が必要な発展途上国の中国が削減目標を決めたことで、先進国の役割がさらに問われることになります。

 この目標は25日に開かれた国務院常務会議(閣議)で決まりました。削減目標は、一定額のGDPを生み出すために排出されるCO2の量、GDP単位当たり排出量で設定されています。このためGDPの増加に応じてCO2排出量の増加速度を調整することが可能です。

 世界最大の排出国である中国と2位の米国がともに目標を持つことで、暗礁に乗り上げかけていたCOP15で新たな枠組みづくりにはずみがつく可能性が出てきました。


解説

“大局を考えて”中国政府が決断

 中国が期限を定めた二酸化炭素(CO2)削減の数値目標を掲げたのは初めてです。26日、発表にあたって中国国務院(内閣)は発展途上国としての中国の困難性を挙げ、「目標実現には筆舌に尽くしがたい苦難の努力が必要だ」(発表文)と述べました。それにもかかわらず数値目標を決めた理由を「経済発展と環境保護、国内と国際の大局、現実の需要と長期的利益を統一的に考えた」と説明しました。

 中国は、歴史的に多くの温室効果ガスを排出してきた先進国と、貧困を解決しなければならない途上国の責任の区別を強調してきました。これは中国だけの主張でなく、国連気候変動枠組み条約などで「共通だが差異ある責任」として国際的合意になった原則です。

 ただ、最大の排出国である中国にさらに努力を求める声は国際社会で高まっていました。9月の国連気候変動サミットで胡錦濤国家主席は国内総生産(GDP)単位当たりで2020年までに05年比で大幅に減らすと表明し、今回数値目標に踏み出しました。中国社会科学院などが10月にまとめた「気候変動緑書」ではこのまま排出が増え続ければ、農業生産が10%低下すると試算しています。削減は中国自身にとっても待ったなしです。

 今回決めた数値目標は国務院によれば「約束性の指標」であり、今後、中長期的経済発展計画に組み込まれます。26日記者会見した担当閣僚の解振華国家発展改革委員会副主任は「自発的な国内目標」といい、国際公約ではないと述べました。新たな国際的枠組みづくりが暗礁に乗り上げている原因の一つは先進国による途上国支援が具体化されないことです。中国が削減目標を明らかにしたことでこの点でも先進国の責任が問われます。(北京=山田俊英)


米は20年までに17%

 【ワシントン=小林俊哉】米ホワイトハウスは25日、オバマ大統領が12月にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に出席すると発表しました。米政府として、温室効果ガスを2020年までに05年比で17%削減するとした目標を提示することも発表しました。

 同目標値は、6月に米下院が可決した気候変動対策法案に盛り込まれている目標と同じ。現在、上院では削減幅を20%に引き上げる法案が審議されています。

 ホワイトハウスのフローマン次席大統領補佐官は同日、記者団に対し「(COP15まで)2週間となった現在、効果的に機能し、主要な課題が網羅される合意をいかにつくりだすかが焦点だ」と指摘。オバマ大統領が出席し、主要排出国の米国として削減目標を示すことで、合意に向けた機運を高める意向を表明しました。

 ただ、オバマ氏がコペンハーゲンを訪れるのは12月9日。翌10日にはノーベル平和賞授賞式に出席するためオスロに入ります。COP15は7〜18日に開催され、各国の首脳レベルが集まるのは会議の最終盤とみられます。

 ホワイトハウスは、米国代表団として内務長官、農務長官、商務長官、エネルギー長官、環境保護局長官らの閣僚が出席することも発表しました。



もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp