2009年11月30日(月)「しんぶん赤旗」
NHK「日曜討論」
穀田国対委員長の発言
日本共産党の穀田恵二国対委員長は29日、NHK「日曜討論」に出席し、30日で会期末を迎える臨時国会の審議状況について、各党代表と討論しました。
臨時国会
国民の声にこたえているか
はじめに、与党の強行採決や自公の審議拒否によって国会審議がストップし、臨時国会で法案が1本も成立していない事態が議論となりました。
民主党の山岡賢次国対委員長は「緊急性のある法案はかなりすすんできた」と述べ、法案成立を最優先する考えを示しました。
穀田氏は次のように述べました。
穀田 今度の国会でなにが求められているのかをはっきりしなければいけません。国民が「自公政権ノー」といって、政治を変えたいという思いが実現した。新政権のもとでなにが変わったのかをはっきりさせることが一つです。
同時に、年を越すことができない問題があります。雇用問題と中小零細企業の困難をどう打開していくのかということを、政治がはっきりメッセージをだす必要があります。
外交でいえば、沖縄の米軍普天間基地について、県民の基地はいらないという声に応え、(総選挙中の)テレビ討論会などで「県外、国外移設」と公約したことを実現するのかが問われています。
ですから、法案が通ったかどうかということだけではなく、国民の声にどう応えたのか(が重要だ)。そういう意味でいうとまだ不十分で、「政治とカネ」の問題を含め、きちんとした集中審議をすべきだと思います。
雇用問題
大企業の首切りやめさせよ
自民党、公明党の出席者が国会会期の大幅延長を主張したのに対し、山岡氏は「政治の中身は予算だ」と発言。本格論戦は2010年度予算案提出後の通常国会ですべきだと主張しました。
穀田氏は「予算や法案が通らなくても、いますぐ手を打たなければいけないことはある」と指摘。次のように述べました。
穀田 例えば、アメリカでは失業給付を140日間延長しています。失業が大変だ、雇用が大変だというときに、(失業給付の)全国延長給付は法律を変えなくてもできます。
一方では、デフレを理由に大企業がまた首切りを始めています。これに対して、きちんとやめろと言えるかどうか。このことを問いただす責務が国会にはある。予算だなんだということではなく、政治がいまできることはなにか、ここをしっかり審議することが大事です。
中小企業金融円滑化法案
採決強行が国会混乱の原因
与党が返済を猶予する中小企業金融円滑化法案を19日に衆院で強行可決したことが議論となり、山岡氏は「強行したわけでは全くない」と強弁。同時に、審議をボイコットした自公出席者も開き直る姿勢を示しました。
穀田氏は、法案の中身すら不透明なまま、与党が、採決を強行したことが国会混乱の原因だと批判。次のように述べました。
穀田 返済猶予法案でいうと、外枠は分かるが法案の魂にあたる「検査マニュアル」がはっきりしない。政府は概略を出すと言っていたのに、結局イメージしか出さない。こういうことでは審議を尽くす条件を保証していません。
同時に、私たちは、与党になったら強行、野党になったらボイコットという旧来と変わらないやり方はおかしいと一貫して言ってきました。
しかも、(与党の)みなさんがどう言おうと、強行したことは客観的事実です。特に返済猶予法案では、国民の意見を聞く参考人質疑直後に採決した。こういう例はいままでありません。
鳩山首相の疑惑
変わる自身の発言、無責任
鳩山由紀夫首相の資金管理団体に対し、08年までの5年間に首相の実母から9億円もの資金提供があったことが議論となり、穀田氏は次のように述べました。
穀田 国民の政治に対する信頼という点で明らかにしなくてはいけない最大の問題です。9億円の問題についていうと、(鳩山首相は)貸付金といっているが、実際には利子を払っている様子もないし、返済期限も不明確。そのうえ、本来個人献金の制限は150万円という問題もある。なかでも、原資はなにか、なにに使われたのかということが国民の最大の疑問です。
合わせて、鳩山首相自身の発言もくるくる変わっている。最初は「母のお金じゃないと信じる」と言って、今度は「知らない」と言う。それはあまりにも政治家として無責任です。
山岡氏は、「長い目で政治の信頼を論じ合ってもいいが、いまやることは生活を守ることだ」「井戸端会議みたいで面白いかもしれないが、国民生活にどう役に立つのか」と言い放ちました。
穀田氏は次のように批判しました。
穀田 問われているのは、(国民の疑問に対して)はっきりさせることが必要かどうかということです。はっきりさせることに反対という人はいません。はっきりさせようと思ったら本人がでるのが一番で、それ以外なにがあるのか。
合わせて、国民が1円2円で苦しんでいるときに、1億円だ9億円だという話が飛び交う。そういう政治であっていいのかという政治のありようが問われている問題です。私たちは、これを(審議の)条件にしているのではない。(集中審議を)やるのかやらないのかということが問われているのです。
雇用・医療・沖縄
鳩山政権への国民の不満が
最後に改めて鳩山政権について問われ、穀田氏は次のように述べました。
穀田 (鳩山政権が)いま現実に行っている実態をみる必要があります。
一つは、雇用をなんとかしてほしいという思いに対して、失業給付(の延長)をはじめ法律を変えなくてもできることがある。また、大企業に対して雇い止めやめろという立場をきちんと言っていく。そういう点では極めて不十分です。
二つ目に、後期高齢者医療制度廃止をはじめとして、野党の時代に一緒に約束し、いったん港に戻ってそれから考えると言っていたものについても、すぐ廃止しないという。この点も極めてまずいと思います。
三つ目に、焦点になっている米軍普天間基地の問題についても、テレビ討論会で約束したことを実行できない。国民は大いに不満に思っているのではないでしょうか。そのことを代弁しておきたいと思います。
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