2009年12月2日(水)「しんぶん赤旗」
原爆症基金法が成立
全原告救済 認定訴訟解決へ
「国政でこんな喜びははじめて」「核廃絶に向け、残された人生を頑張っていきたい」。傍聴席の被爆者の目から涙がこぼれました。原爆症認定集団訴訟の原告を救済するための基金法(原爆症基金法)が1日の衆院本会議で、欠席した自民党以外の賛成で可決、成立しました。
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原爆症基金法は、前政権と原爆症認定訴訟の原告団が、被爆者救済策について合意した基本方針(8月6日)にもとづいて、訴訟に敗訴した原告を救済する基金を設立することを定めています。
原爆症認定訴訟をめぐっては、11月30日にも横浜地裁と福岡高裁で原告「勝利」の判決が出るなど、国側が21回連続で敗訴しており、被爆者の運動が今回の法案成立に結びつきました。
日本共産党は被爆者問題委員会を設置し、全国各地で運動に連帯。国会でも、原爆症認定訴訟の原告全員救済による訴訟の全面解決、司法判断にそった認定基準の改定を一貫して迫り、8月6日の合意に先立つ通常国会でも委員会質疑や申し入れで政府に強く求めてきました。
本会議傍聴席で採決を見守っていた日本原水爆被害者団体協議会の小西悟事務局次長は「今回の法案の成立はこれまで考えられなかった大きな変化です。小さな集会や署名運動による小刻みな変化の積み重ねが今回の成果になったと思う」と喜びを表明。同時に、「ここからが新たなスタートです。国は先の戦争の被害に対する責任を明確にしていません。核廃絶という目標にむかって小さな勝利を積み重ねていきたい」と語りました。
たたかい続けた成果
小池・党被爆者委責任者が談話
原爆症認定集団訴訟解決のための基金立法が1日、成立したことをうけ、日本共産党被爆者問題委員会の小池晃責任者は次の談話を発表しました。
敗訴を重ねた国と原告らによる解決のための合意の具体化が、ようやく動き始めた。原告をはじめ被爆者や支援のみなさんが、被爆の実態を明らかにし、核兵器のない世界への願いもこめ、6年余にわたってたたかい続けてきた成果にほかならない。
このたたかいは、認定基準を改善させるなど多数の被爆者の救済にも道を開いたが、11月30日の福岡高裁、横浜地裁の判決をみても、なお基準が被爆の実態にみあっていないことは明白である。
被爆者と厚生労働大臣との定期協議など、訴訟解決のための合意を全面的に実行し、原爆症認定問題と被爆者施策のいっそうの充実を図ることは緊急の課題である。その実現のために奮闘する。