2009年12月2日(水)「しんぶん赤旗」
ドバイ金融ショック
対外債務返済不能の恐れ
石油収入はGDPの2%
【カイロ=松本眞志】アラブ首長国連邦(UAE=七つの首長国で構成)のドバイ首長国の持ち株会社の資金調達が難航し、同首長国が債務返済延期を債権者に要請したことが大きな波紋を広げています。
問題となったのは、政府系持ち株会社ドバイ・ワールドと傘下の不動産会社ナキールの債務返済延期。債務の総額は590億ドル(約5兆円)にのぼるとされます。
UAEは世界有数の産油国ですが、ドバイの国内総生産(GDP)に占める石油収入の割合は実際は2%。高層ビルや住宅建設などに使われた資金は、ほとんどが海外から借り入れたものです。しかし、国際経済危機の影響で不動産価格が下落し、一挙に赤字に転落。ばく大な債務を抱える事態に陥りました。
財政的裏づけのない事業の中断という事態が続出したことで、米国などのメディアは大規模な国家債務返済が不履行となる可能性を指摘。影響が海外に波及し、国際経済危機からの回復に打撃を与えることへの不安も広がっています。
カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは、「ドバイの負債が投資家のパニックを引き起こす」と題する論評で、「ドバイの債務不履行はアジア金融市場での株の売却へと導き、金融危機再現の懸念を高めている」と述べています。
同じUAEを構成するアブダビ首長国高官は、11月28日に財政支援の意向を表明。ドバイ首長国の資産が首長とその家族の所有なのか、政府の所有なのかなどが不透明であることから、支援の条件としてドバイ側の資産情報の開示を要求しています。