2009年12月3日(木)「しんぶん赤旗」
医師の判断 「要介護4」
実際の認定 「要介護2」
電話相談 制度そのものに疑問
介護保険に関する無料電話相談「介護保険ホットライン2009」(市民団体でつくる企画委員会主催)の報告書がこのほど発行され、「配偶者が要介護2から要支援になった。制度がおかしいのではないか」など、制度の現状への痛烈な批判や苦悩が多数寄せられたことがわかりました。相談(6月17〜19日実施)には、3日間で130件の電話が寄せられました。
利用者・家族からは「80代の配偶者は要介護2だったが更新の申請で要介護1と軽くなった。アルツハイマー型認知症で、よくなることはなく、おかしい」「医師とケアマネジャーからは要介護3か4といわれるのに、現在の認定ランクは要介護2。どうしてかわからない」など認定への疑問が寄せられました。「要支援1で週2回訪問介護を利用してきたが、サービス提供が2時間から1時間半に減り困った」など、06年の制度改悪によるサービス抑制への苦情もありました。
「要介護5で施設に申し込んだが2〜3年待ちといわれる」など特別養護老人ホームに入れない人からの相談や、「訪問介護の利用料が4月から2割も上がり経済的な負担が悩みだ」など介護報酬の引き上げに伴う利用料アップへの不満も寄せられました。
「母親が寝たきりで24時間介護が必要だが、『同居家族』がいるとの理由で限られたサービス内容になった」など国が主導する「介護給付適正化事業」でサービスを制限された人もいました。
介護労働者らは「介護報酬が上がったが賃金に反映されていない。退職者が相次ぎ、新入りが入っても同じことが繰り返され、慢性的ヘルパー不足」など労働条件にかんする悩みを語りました。
電話の内容は相談(39件)や悩み(19件)のほか、制度やサービスへの怒り(29件)・苦情(27件)・不満(38件)が大半を占めました(複数回答あり)。報告書は「制度そのものへの本質的な疑問の声が増えている」と分析。主催団体の一つ、市民福祉情報オフィス・ハスカップの小竹雅子主宰は「小泉政権以降の給付抑制政策が利用者を追いつめていると感じた」と話します。
電話相談は06年から毎年実施し今年で4回目。
要介護認定 介護保険のサービスを使うには要介護認定を受ける必要があります。認定ランクは軽い方から要支援1〜2、要介護1〜5に分けられ、どれになるかで使えるサービスが左右されます。
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