2009年12月9日(水)「しんぶん赤旗」
保育所死亡事故49件
無認可30 認可19
04年以後 厚労省が初めて公表
厚生労働省は8日までに、2004年4月から09年11月までの間に保育施設で起きた死亡事故の件数と特徴などをまとめ、発表しました。国がこうした統計を公表するのは初めて。死亡事故急増の事実を指摘した「赤ちゃんの急死を考える会」(櫛毛冨久美会長)の要請や、日本共産党の小池晃参院議員の国会質問(11月19日)を受け、まとめたものです。
厚労省のまとめによると、認可保育所での事故は19件で、発生場所は園内13件、園庭2件、園外4件となっています。具体的には「廊下に置いてあった本棚の中で熱中症で死亡」「園庭で育てていたプチトマトを食べ窒息死」「園舎屋根からの落雪により死亡」などの事例がありました。
認可外保育施設での事故は30件で、園内28件、園外2件となっています。「浴室で溺(でき)死」「園外保育中の交通事故で死亡」「午睡中の死亡」などの事例があったとしています。
死亡児の年齢は、認可は0歳児、1歳児、2歳児が各4人(21・1%)で一番多く、認可外では0歳児が19人(57・6%)で最多でした。
この結果について長野県立こども病院の田中哲郎副院長は「保育施設における事故の発生要因を分析し、関係者で検討し、防止策を講じ、全国の保育現場に周知することこそ重要」と語っています。
保育施設での死亡事故をめぐっては11月20日、遺族などでつくる「赤ちゃんの急死を考える会」が、1962年以降に発生した死亡事故240件を分析した結果を発表。認可保育所への園児の詰め込みが進んだ2001年度以降、認可での死亡事故が急増していることに警鐘を鳴らし、政府に調査を求めていました。
「赤ちゃんの急死を考える会」の小山義夫副会長は「厚労省はもっと前からの数字もつかんでいるはずなのに、04年以後の数字だけを発表したことには納得がいかない。規制緩和と死亡事故増加との因果関係を、国は責任を持って検証すべきだ」と話しています。
規制緩和の撤回を
小池晃参院議員が談話
保育所での死亡事故の実態を明らかにするよう、私も国会で要求してきました。
今回公表された数字は、保育所の環境が子どもの生命や安全にどれほど重大な影響を与えるかを、改めて示しています。保育所の最低基準の引き下げなどの規制緩和は、子どもの安全を危険にさらすものであり、撤回すべきです。
無認可保育所での事故が際立って多く、早急な対策が必要です。同時に、安全が担保されているはずの認可保育所でも事故がこれだけあるという事実を重く受け止めるべきです。
政府は、これ以前の数字も公表し、2001年以来の保育所の規制緩和が、どのような被害をもたらしたかを検証すべきです。