2009年12月9日(水)「しんぶん赤旗」
9条署名
下諏訪で住民過半数
長野
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人口2万2000人の長野県下諏訪町で、「しもすわ九条の会」が、憲法9条を守る「県民過半数署名」を1万1579人分集めました。政府与党が、法制局長官の答弁を制限して閣僚による解釈改憲を可能にしようとする国会法改定案を次期通常国会で提出する方向のなか、同会は「平和憲法を守り活(い)かす大きな世論を草の根からつくっていこう」と決意を新たにしています。
同会代表世話人らは、太平洋戦争の開戦記念日にあたる8日、同町役場で記者会見し、2005年4月に会を結成して以来とりくんできた署名が、「目標の1万を超えた」と報告しました。
積み上げられた署名を前に、歌人の光本恵子さん(64)は、口語自由律短歌が戦前弾圧されたことにふれ「自由にものが書け、歌が詠める社会を守りたい」と語りました。
元町長、青木健一さん(84)は「選挙の票にしたら誰もとったことのない1万以上の署名。町民の平和への強い思いを確信しました」。青木さんは、元国鉄労働者で旧社会党員。「護憲は信念」といいます。
4代目医師も奔走
「しもすわ九条の会」は、平和をテーマにしたDVD上映会を各地域で開き、参加者がその場から周辺地域に訪問し署名を集めるなどしてきました。
1300年に創建された慈雲寺の住職、福田精裕さん(42)も代表世話人の一人。檀家(だんか)から「特定の団体に住職が名を連ねることはいかがか」と意見がありました。「でも宗教者として命をやりとりする戦争には反対です。9条はこの国に絶対必要です。個人的には父が軍人から出家し、母が長崎で被爆したため、幼いころから平和の尊さを教えられてきました」と、思いを語ります。
署名集めは、ときに足踏み状態になることも。会の事務局員、日本共産党の金井敬子町議は「開業医の武井秀夫さん(77)にハッパをかけられて奮起した」といいます。
武井さんは当地に10代続く名家で医家としては4代目。「医師は人間の尊厳と命を守るのが仕事。環境と平和を守る行動は当然のこと」といいます。国民投票法(改憲手続き法)に危機感をもち、夫婦で「武井九条の会」を名乗り、9月から毎週、地域を回り署名を集めました。
武井さんは、「おれは自民党員だ」という男性が、兄が22歳で沖縄で戦死したことを涙ながらに語って署名してくれたことが「深く印象に残った」と話しました。
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