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2009年12月15日(火)「しんぶん赤旗」

NHK番組「日曜討論」

小池政策委員長の発言


 日本共産党の小池晃政策委員長は13日、NHK「日曜討論」に出席し、鳩山政権で審議されている来年度の税制「改正」案について、各党代表と討論しました。


税制

「力ある人が負担」の議論を

 はじめに、この間の政府税制調査会の議論について、民主党の峰崎直樹財務副大臣は「フルオープン(完全公開)で税のあり方を議論したことは大きな成果だ」と強調しました。

 小池氏は次のように述べました。

 小池 議論の内容が問題です。

 この間、(自公政権は)大企業・大資産家減税という大きな流れでやってきました。それを見直す議論がありません。

 扶養控除廃止の問題なども含め、財源探しで、庶民の間で負担を押し付けあうような議論になっていますが、これは正しくないし、財源も生まれません。

 例えば、株式譲渡益や配当にたいする課税は10%に軽減されています。一方、銀行利子に対する課税は20%、所得税・住民税の最高税率は50%です。金融所得は給与所得とは分離課税になっていますが、だいたい大金持ちは金融所得の方が多いわけで、結果として、金持ちになればなるほど逆に実際に負担する税率が下がる構造になっているわけです。

 経済危機といいながら、米国では、25%だった証券税制を30%に引き上げようとしています。やはり暮らしが大変なときは力のある人が負担する。そういう議論をするわけです。こういう大きな議論をしっかりやらなければ、わたしはこの国の形は変わらないし、財源も結果として生まれてこないと思います。

 国民新党の自見庄三郎幹事長は、「共産党からも意見があったように、(税の)公正を担保していくことが強く求められている」と述べました。

暫定税率廃止

今ガソリン大減税やる時か

 鳩山政権内で、ガソリン税などの暫定税率廃止(2・5兆円)と地球環境税の導入が取りざたされていることが議論になりました。

 峰崎氏は、「暫定税率を廃止するという考え方では一致している」としながら、来年度の扱いについては明言を避けました。

 小池氏は次のように述べました。

 小池 考え方をはっきりさせる必要があると思います。

 いまガソリンや車に対する大減税をやるときなのか。これは違うと思います。国民からも疑問の声が上がっていますし、原油が非常に高騰した昨年のような事態のときに緊急に税率を下げることはあり得ると思いますが、「マニフェストにあるから」というだけでやるということでいいのか。見直すべきです。

 まず地球温暖化対策に逆行します。日本のガソリン税は諸外国と比べて高くありません。しかも、財政の状況があるわけです。

 わたしたちは、暫定税率をなくすのであれば、そのときには環境税を切れ目なく同時に導入していくことが必要だと考えています。地球環境の問題からいっても、国際的にもそれが求められると思います。

 社民党の阿部知子政審会長も、「暫定税率の廃止と同時に環境税の導入を」と発言。小池氏は「環境税の議論は国民的な議論が必要で、寒冷地の問題、低所得者に対する手当もつくらなければいけない。国会できちんと議論する必要がある」と力説しました。

扶養控除廃止と子ども手当

根本的考え方変えるべきだ

 鳩山政権が、子ども手当の財源として扶養控除の廃止を求めていることが議論となりました。民主党は総選挙マニフェストでは所得税の配偶者控除・扶養控除を廃止するとしていましたが、同じくマニフェストに掲げた高校授業料の無償化と政策目的が重なるとして特定扶養控除(16〜22歳)についても縮減を検討しています。

 峰崎氏は「所得税だけと思っていたが、税体系からすると住民税もやらなければうまくないという問題がでてきた」と述べ、住民税分についても扶養控除を廃止する考えを示しました。

 小池氏は次のように述べました。

 小池 扶養控除(を受けている人)は全体で1500万人。そのうち(扶養控除の成年分の)23〜69歳は500万人以上いらっしゃる。そういう方々にはなんの手当もありません。

 控除から手当へという考え方は私も賛成です。しかし、手当をもらえない人がいるわけで、ここは成り立たない。総務省の試算でも、年収300万〜500万円の世帯主で年間5万〜6万円の増税だけになってしまうわけで、こんなことをやることは許されないと思います。こういうやり方は最低限度の生活費には課税しないという生計費非課税原則にも反することになります。

 これだけ巨額の事業をやるというときに、いまごろこんな議論をやっていること自体が大変問題ではないか。先ほど、峰崎さんが、住民税も一緒にやらなければいけないという問題がいまになって出てきたとおっしゃったけど、こんなことは最初の段階で考えておかなければいけなかった話ですよ。こういう形で控除を削れば矛盾がでてくるというのは、誰だって分かっていたわけです。

 そういうことで言うと、考え方を根本的に変えないとこれはできない。もし子ども手当をやる、(財源を)税金に求めるというのであれば、負担能力に応じて収入の多い部分から取るという形に考え方を変えなければいけない。子ども手当も全額現金給付ではなくて、保育所をつくるなどいろんな形も含めて見直さなければだめだと思います。

 社民党の阿部氏は、特定扶養控除の縮減にも理解を示しながら、「小池さんがおっしゃったように、資産課税や相続課税、金融課税など、担税力のあるところからいただくことが当然。原点は与党としても確認している」と述べました。

 小池氏は、「そういう議論になっていない」と批判。次のように述べました。

 小池 そうなっていないから、結局、扶養控除のところをどうするのか、(財源が)足りなくなって住民税に手をつけるとか、特定扶養控除に手をつけるとか、公約違反になってしまう。そこの考え方を変えなければだめです。

事業仕分けと予算審議

防衛省予算などに切り込め

 最後に改めて鳩山政権の予算審議について問われ、小池氏は次のように述べました。

 小池 「事業仕分け」がありましたけど、結局、削減要請額をみても総額で6900億円です。防衛省の(削減要請)予算はわずか54億円、予算全体の0・1%でしかない。やはり自民党時代の聖域に切り込んでいないと思います。

 もう一つ、税収が37兆円。これは1985年以来ですから、消費税がなかったときですよ。そのときのGDP(国内総生産)はいまの6割です。ところが法人税はそのときより半分以下になっている。やっぱり負担能力のあるところに負担を求めていない。そういうところに税収を求める大きな議論をしなければ、この根本問題は解決しないと思います。

 自民党の野田毅税制調査会長は、「消費税を含め財政再建の道筋を明確にしなければいけない。4年間は消費税を上げないといって、国債増発では大変なことになる」と消費税論議を求めました。



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