2009年12月15日(火)「しんぶん赤旗」
「厳しい実態 見ない判決」
老齢・母子加算廃止 原告の訴え棄却
京都地裁
生活保護の老齢・母子加算の削減・廃止は生存権を定めた憲法に違反するとし、京都市と城陽市の保護受給者4人が取り消しを求めた京都生存権訴訟の判決が14日、京都地裁でありました。
滝華聡之裁判長は判決で、両加算とも「(削減・廃止は)厚生労働大臣が裁量権を乱用したとはいえず、違憲・違法ではない」とし、原告の請求を棄却しました。原告・弁護団は控訴する方針です。
原告は削減・廃止による厳しい生活実態を訴え、憲法25条で規定された「人間らしい生活」が奪われていると主張していました。
滝華裁判長は、加算削減・廃止後の生活について「健康で文化的な最低限度の生活を下回っていると評価することはできない」などと切り捨てました。
訴訟は、京都市の松島松太郎さん(84)が2005年に全国で初めて提訴したもの。
老齢加算は月に約1万8000円、母子加算は月約2万3000円を支給(いずれも京都市)されていました。
判決後の報告集会で、母子加算の原告(46)は、「とても悔しい思いでいっぱい。裁判所は私たちの生活を何も見てくれていなかった。最後までがんばりたい」と述べました。
弁護団の尾藤廣喜弁護士は、「訴訟によって世論が広がり、母子加算の復活、老齢加算も検討される状況を切り開いたことに確信を持ちたい。司法の存在意義が問われており断固たたかう」と強調しました。