2009年12月16日(水)「しんぶん赤旗」
COP15 コペンハーゲン
京都議定書
順守・継続は批准国の責務
背向ける日本政府に批判
2013年以降の地球温暖化対策を話し合う国連のCOP15(気候変動枠組み条約第15回締約国会議、コペンハーゲン)の焦点として、先進国に温室効果ガス削減を義務づけた京都議定書の延長・改定が、新条約作成とともにクローズアップされています。京都議定書の扱いがなぜ焦点になるのか、みてみました。
同議定書は1997年12月に京都市で開かれたCOP3で採択された法的拘束力のある国際条約です。05年に発効しました。今年11月時点で、中国をはじめ190カ国が批准・締結。米国は98年11月に署名したものの、ブッシュ政権が批准を拒んで現在にいたっています。
同議定書を採択したCOP3の議長国にもかかわらず、日本政府は今回のCOP15の会合で同議定書の延長・改定に拒否を表明、自公政権のときとまったく同じ態度をとり、諸外国代表や環境NGOから失望と強い批判の声があがりました。
日本政府が京都議定書を尊重してこなかったのは、法的拘束力など京都議定書の生命力を葬り去りたいというのが本音です。同議定書の画期的な意義は、温室効果ガス(6種類)について(1)総量規制と国別目標の設定(2)法的拘束力(3)守れなかった場合の罰則(順守制度)―を明記した、唯一の法的枠組みであることです。国別削減目標の数値は低いものの、目標達成の約束期間につづく次の期間や、見直しについても明記されています。
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京都議定書は08年から12年の5年間(第1約束期間)の年平均の削減目標を定め、それに続く第2約束期間で、目標未達成の場合のペナルティーを設定しています。第2約束期間があることを前提とした法的規制となっています。第2約束期間は12年以降、空白の期間がなく継続することも明記するなど、同議定書は継続されることを前提につくられているのです。
同議定書の改定を想定し、COP15の6カ月前には改定原案が締約国に提示されてもいました。
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「危険な気候変動を回避するための時間は待ったなし」「COP15で合意を」というのがコペンハーゲンの会議に出席した代表の共通した願いです。京都議定書の発効は05年。採択から8年後でした。同議定書を批准していない米国などが参加する20年の中期目標を設定した法的拘束力ある新条約(条約の別表に目標を記載)の批准、発効を待っているわけにはいきません。
現在発効している唯一の法的拘束力ある同議定書を生かすことは、すでに批准している国が削減行動を急ぐ上で不可欠です。同議定書を順守していくことは批准した締約国の責務でもあります。
COP15の特別作業部会で提案された同議定書の延長・改正案は、批准している国が第2約束期間の中期削減目標を設定するものとして採択する内容で、法的拘束力など同議定書の生命力は引き継がれています。
現実に発効している同議定書の法的拘束力ある枠組みを率先して否定しようという日本政府の姿勢は、COP15の成功に水をさす行為にほかなりません。(宇野龍彦)
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