2009年12月16日(水)「しんぶん赤旗」
中小企業等金融円滑化法をどう考える?
〈問い〉中小企業等金融円滑化法について、日本共産党はどう考えますか。(大阪・一読者)
〈答え〉中小企業等金融円滑化法は、民主党の強行採決、自民党の審議拒否といった不正常な国会運営のなかで成立しました。
日本共産党は、政府与党の強引な国会運営を厳しく批判し、債務返済に苦しむ中小業者や個人の救済に同法案がより役立つよう政省令等の改善を求め、採決では賛成しました。
金融円滑化法は、亀井静香金融担当大臣が当初「債務返済を3年間猶予させる法案」(モラトリアム法案)と言っていたものです。記者会見直後の9月には、中小零細業者が大いに期待を寄せる一方、メガバンクら金融機関を震撼(しんかん)させました。
しかし、提出された法案は、実効性に乏しく、内容も後退していました。例えば返済猶予などの条件変更は「できる限り柔軟に対応する」と記されるのみで、何ら強制力はありません。また民主党が公約し、期待された特別保証制度の復活も盛り込まれず、逆に条件変更の申請が貸し渋りを起こすのでは―との懸念が残りました。
日本共産党がこうした問題点を追及すると、亀井大臣は金融庁の検査監督を通して実効性を持たせると約束し、「コンサルタント的な機能を果たしているかどうかを金融検査の眼目にする」「(金融機関の)反社会的行為をきっちり指導し、処分する」との考えを示しました。
4日に確定された金融検査マニュアルの改訂版では、金融機関の検査項目に「経営相談・経営指導及び債務者の経営改善計画の策定支援などにしっかり取り組んでいるか」「過去の条件変更の履歴だけで新規融資・条件変更を拒否していないか」などが盛り込まれました。また、中小業者が経営改善計画の策定を最長1年間猶予しても不良債権にしないとされました。
中小企業等金融円滑化法は「努力義務」を課すだけのため、実効性を高めるには、金融機関や保証協会とねばりづよく交渉するなど、国民の目で金融機関の姿勢を監視しつづけることがカギとなります。(芳)
〔2009・12・16(水)〕