2009年12月23日(水)「しんぶん赤旗」
扶養控除を廃止・縮小
鳩山内閣が税制「改正」大綱
子育て世帯に増税
負担増連鎖の恐れ
鳩山由紀夫内閣は22日、2010年度税制「改正」大綱を閣議決定しました。大綱は所得税・住民税の年少分の扶養控除(16歳未満)の廃止のほか、特定扶養控除(16〜22歳)の高校生部分(16〜18歳)の縮小を盛り込みました。子育て世帯に所得税・住民税増税を押し付けるほか、何らかの手だてがとられなければ多くの社会保障制度で“雪だるま式”負担増を招く恐れがあります。
これらの「改正」が実施されると、所得税は11年分から、住民税は12年度分から増税になります。
鳩山内閣は扶養控除の廃止などによって確保した財源によって、マニフェスト(政権公約)で掲げた子ども手当を導入しようとしています。子ども手当の導入にあわせて現行の児童手当が廃止されます。
子育て世帯は、新たに子ども手当が支給されるものの、所得税・住民税増税と現行児童手当の廃止によって、子ども手当の効果は大幅に減少します。
政府税制調査会に示された資料では、所得税・住民税の扶養控除が廃止された場合、連鎖的な負担増が保育所の保育料や私立幼稚園就園奨励費補助、国民健康保険料など、少なくとも23項目に及ぶことが明らかになっています。
特定扶養控除(16〜18歳)はマニフェストにかかげる高校授業料の「実質無償化」の財源を口実に、所得税については現行63万円を38万円まで、住民税については、現行45万円を33万円まで圧縮しようとしています。
同控除の縮小は、現在、公立高校の授業料の免除措置を受けている世帯にたいし、所得税・住民税増税の痛みだけを押し付けることになります。「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討」するとしていますが、具体的な手だては示されていません。
成年分(23歳〜69歳)の扶養控除の廃止案については、子ども手当の対象にならず、廃止に伴う増税だけが襲うことになるため、とくに強い批判が起きました。このため、廃止を見送りました。
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