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2010年1月5日(火)「しんぶん赤旗」

派遣切りとのたたかい・生活まるごと相談

にいがた青年ユニオン

1年半で組合員10倍

一人では門前払いでも、組合なら会社と話し合える


 「寒かったでしょう。さあ、温かい豚汁を食べてから、お話ししましょう」―。寒波で大雪に見舞われた新潟県。昨年末、仕事や住まいに困った人を支援しようと新発田市で開かれた「1日派遣村」で、あたたかく声をかける若者の姿がありました。にいがた青年ユニオンの若者たちです。(田代正則)


写真

(写真)大雪のなか生活支援を行った「しばた1日派遣村」=新潟県新発田市

 受付の隣で手伝っていた男性(27)は「派遣切り」で住居も失い車上生活をしていたのを日本共産党に助けられ、生活保護で命をつなぎました。

衝撃

 組合に入って立ち上がっている人を見て、衝撃を受けました。「派遣は切られて当然だとあきらめていました」。その場で加入を決め、「一人でも多くの若者に、声をあげようと呼びかけたい」と熱く語りました。

 受付に座り、相談者に炊き出しの豚汁をすすめる男性(46)は、「派遣切り」裁判をたたかっています。

 電子基盤用の精密工具加工に従事。偽装請負などで2002年から働かされ、08年末に突然、雇い止め。弁護士の法律相談で紹介されたのが、青年ユニオンでした。

 「個人で会社に申し入れても門前払いだったけど、組合のおかげで話し合いのテーブルにつかせ、偽装請負を認めさせた。たたかってよかった」

 ユニオンのメンバーは翌日、新発田市役所で相談者の生活保護申請にも同行。担当者と折衝し、「(保護を受けながら)求職のため、自家用車の使用はできる」と確認し、相談者も、「車がなければどこにも行けないので、助かりました」と安堵(あんど)の表情を浮かべました。

結集

 にいがた青年ユニオンは、08年6月に14人で結成。「派遣切り」とのたたかいや生活をまるごと支える相談活動に取り組み、わずか1年半で140人へと10倍に増えました。組合員には、派遣労働者から酒造り職人までおり、地域の若者や労働者のよりどころとして発展しています。

 ユニオン結成は、新潟東芝家電製造(加茂市)の「派遣切り」とのたたかいが契機でした。偽装請負で働かされたあげく中途解約された男性(35)を支えようと、東京・明治公園の全国青年大集会に参加した若者たちが結集したのです。

 11月には直接雇用を求めて労働局へ申告。地元メディアで大きく報じられ、連日のように相談が寄せられるようになりました。

 「派遣切り」とのたたかいでは、団体交渉で、首切りを撤回させ、派遣会社が自ら運営している工場で直接雇用すると約束させる成果もあげました。

 正社員とは名ばかりの最低賃金ギリギリの収入で、有給休暇もまともに取れなかった印刷工場では、団体交渉のたびに組合加入が広がり、初回10人、2回目は30人へと増加。一時金5万円を支給させる成果もあげ、従業員のほとんどが組合員になりました。

約束

 長時間労働とサービス残業に苦しめられていた女性組合員(32)の団体交渉に同行しました。早朝、まだ薄暗い時刻に山崎武央書記長(33)たちは車で新潟市内の交渉先に向かいます。

 女性は、タウン情報誌にも紹介される若い女性に人気のレストランのアルバイト店員。フルタイムで働いているのは、店長、副店長とこの女性だけ。人手が足りず、ホールで客の注文から厨房(ちゅうぼう)の料理まで駆け回っています。残業は月120時間にものぼりました。

 店の前には、メールで団交があると知った組合員たちがすでに集まっていました。

 「私だけ労働時間を減らしても、店長たちにしわ寄せがいきます。人手を増やして、全体で負担を減らしてほしい」。女性がこう訴えると、社長は「改善していく」と約束しました。

 女性は胸をなでおろし「これまで誰も意見を言えなかったけど、話し合いができた。少しずつ前に進めていきたい」と話しました。

 「いま、中小企業は経営者も大変です。どうしたらうまくいくのか、私たちも一緒に考える姿勢が必要です」と山崎書記長。「新潟には、シャッター通りとなった商店街や米価暴落に苦しむ農村地域もあります。地域再生には、貧困をなくし、雇用を守らないといけません。若者が暮らし続けられる地域づくりに、まちの人と一緒に歩む労働組合にしていきたい」



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