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2010年1月5日(火)「しんぶん赤旗」

「年金機構」が業務開始

危うい記録問題解決

安心壊す民間委託・職員削減


 公的年金の運営管理を担ってきた社会保険庁を解体・民営化した「日本年金機構」が4日、業務を開始しました。記録問題があいまいになるとして反対していた民主党が賛成に回り、職員の大量解雇(分限免職)まで強行して発足したもとで、国民にとってどんな問題点があるのでしょうか。(深山直人)


 機構は非公務員型の公法人となり、有期雇用職員を含めて2万2500人で発足。正規職員は1万600人で半分以上が有期雇用など非正規職員です。記録問題などで業務量が増大しているにもかかわらず、経験ある正規職員は民営化計画時の2005年より3000人も少ない体制です。保険料の徴収から記録管理、年金給付・相談など基幹的業務の大幅な民間委託を行います。

 公的年金は、全国民の何十年にもわたる記録や保険料の確実な管理が必要であり、国が直接管理運営すべきものです。営利を目的とする民間企業のもとで競争入札によって業者や従業員が入れ替わる仕組みでは、安定した運営はのぞめません。個人情報の漏えいなども危ぐされています。

 5000万件の未統合記録のうち解決できたのは27%。再裁定や時効特例給付の未処理は40万件にものぼっています。解決には専門知識と労力がかかるにもかかわらず、それに見合う経験ある職員が配置されていないのが大きな原因です。

商機狙う財界

 民営化を財界・大企業はビジネスチャンスにしようとねらっています。保険料のカード払いと併せて信販会社が徴収業務に参入するなど新たなもうけ拡大に乗り出しています。

 保険料をもとに建設されたサンピアなどの年金施設の多くが建設業者やホテルチェーンなど営利企業に格安で売却されています。

 理事長には日本経団連元専務理事が就任。理事13人のうち8人が関連業界の大企業など民間人が占めます。

 社保庁解体の第1弾として一昨年、政府管掌健康保険を運営する全国健康保険協会が発足。全国一体運営から都道府県単位の財政運営となり、保険料に格差が導入されました。年金でも民営化で国と企業の責任を後退させ、年金積立金の市場運用拡大や私的年金の拡大がねらわれています。

違法問われる

 業務に習熟した職員がますます必要にもかかわらず、民間から1000人以上も採用しながら、日弁連から違法と指摘された選別採用を行い、525人を解雇となる「分限免職」にしました。一方で、記録問題解決のため概算要求で正規・準職員2840人の増員を求めており、再就職先の確保など分限免職回避の努力も尽くされていないことから、二重三重に違法・無効性が問われています。



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