2010年1月6日(水)「しんぶん赤旗」
食料・衣料買えず 受診控えた
ひとり親 高齢世帯
社会保障調査
国立社会保障・人口問題研究所はこのほど、「社会保障実態調査」の結果を発表しました。調査からは、食料や衣料が買えない経験をするひとり親世帯や、経済的な理由で医療機関への受診を抑制している高齢者の単独世帯の貧困の実態が浮かびあがりました。
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同調査は、社会保障政策のあり方を議論するための基礎資料として世帯状況や同居家族の生活実態などを調べたもの。2007年7月に実施(対象は全国の1万5782世帯、有効回答は68・2%)されました。
「生活に困難を抱える世帯の状況」では、「過去1年間に経済的な理由で家族が必要とする食料が買えなかった経験」のある世帯は、15・6%にのぼり、そのうち「よくあった」は2・5%でした。
なかでも、ひとり親世帯(祖父母は同居せず)では、8・3%が「よくあった」とし、「ときどき」「まれに」を合わせると38・4%が食料を買えない状況を経験しています。(グラフ1)
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「衣料が買えなかった経験」は、「よく」(3・4%)を含めて20・5%が「あった」と回答しました。
ひとり親世帯では、「よくあった」が11・6%、「ときどき」(14・8%)、「まれに」(20・4%)をあわせると46・8%を占めました。(グラフ2)
「医療機関の利用状況」に関する調査では、過去1年間で世帯のなかで誰かが医療機関に行かなかった世帯(11・5%)の理由を質問しています。
医療機関に行かなかった世帯のうち、「健康ではなかったが、いくことができなかった」との回答が17%にのぼりました。(グラフ3)
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その理由で最も多いのが「自己負担の割合が高い」(38・4%)でした。また、「健康保険に加入していない」が14・2%にのぼりました。これは全体の0・2%で、全国の世帯数で換算すると約10万世帯に相当します。
同調査は、「高齢の単独世帯(男女ともに)、ひとり親世帯(2世代)は他の世帯タイプに比べて『健康ではなかったが、いけなかった』とする割合が多かった」と指摘しています。
調査からは、重い窓口負担が受診抑制を引き起こしていると同時に、国民皆保険制度を崩す深刻な事態が進行していることも明らかになっています。