2010年1月9日(土)「しんぶん赤旗」
消費税増税なしに高福祉は実現しない?
〈問い〉 スウェーデンは付加価値税が25%です。消費税の増税なしに高福祉は実現できないと思います。日本共産党はどう考えますか。(広島・一読者)
〈答え〉 消費税に相当するスウェーデンの付加価値税は、確かに25%です。財界などの増税勢力は、「スウェーデンが高福祉なのは高い消費税に支えられているからだ」と宣伝しています。これは事実と違います。
まず税率だけで比較すると、スウェーデンの消費税は日本の5倍ですが、税収が5倍もあるわけではありません。国と地方の税収全体に占める消費税の割合は、日本14・7%、スウェーデン24・6%ですから、2倍の違いもありません。これは食料品をはじめ新聞、書籍、映画、旅客輸送など、幅広く軽減税率が適用されているからです。
次に、社会保障財源に占める消費税の割合を比較すると、日本は8・6%です。スウェーデンでも12・3%しかなく、大きな違いはありません。スウェーデンでも消費税によって高福祉が支えられているという議論は、実態に合っていません。
スウェーデンの福祉を支えているのは何でしょうか。社会保障財源の約半分は社会保険料で、そのうち事業主負担は約8割を占めています。日本では社会保険料のほとんどが労使折半ですが、スウェーデンでは事業主の負担割合が高くなっています。こうした実態に照らせば、消費税を増税すればスウェーデンのような高福祉が実現するかのような宣伝は、国民をだますものです。
消費税増税による影響も、スウェーデンとは大違いです。OECD(経済協力開発機構)の統計データでは、勤労世代の市場所得で計算した貧困率は、日本16・5%、スウェーデン16・2%と同程度です。所得課税と社会保障による所得再分配後の可処分所得で計算した貧困率は、日本13・5%、スウェーデン5・1%と大差があります。低所得者ほど負担の重い逆進性を持った消費税は、日本のように貧困率が高い国では打撃が一層大きくなります。この点からも、社会保障財源を消費税に頼るべきではありません。(木)
〔2010・1・9(土)〕