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2010年1月13日(水)「しんぶん赤旗」

日本は法人税が高いという人がいるが?


 〈問い〉日本の法人税は高すぎるという人がいます。日本共産党はどう考えますか。(京都・一読者)

 〈答え〉国税としての法人税の税率を単純に比較すると、日本30%、アメリカ35%、フランス33・3%、イギリス28%、ドイツ15%、中国25%、韓国22%、フィリピン30%となっており、日本が特段に高いとはいえません。

 地方税を含めた「実効税率」では、日本40・69%、アメリカ40・75%、フランス33・3%、イギリス28%、ドイツ29・83%、中国25%、韓国24・2%で、日本はアメリカと並んで最も高い方になります。財界などは、この数字を根拠に「日本の法人税は高いから引き下げろ」と主張しているのです。

 この議論には二つの問題があります。一つは、「実効税率」は理論上の税率にすぎず、実際の税負担率ではないことです。日本の大企業は各種の優遇税制を受けており、実際の税負担率はずっと低くなっているからです。たとえば研究開発減税では、研究費の10%前後の減税を受けられ、その上限は法人税の2〜3割です。研究開発費の大きい自動車・電機・製薬などの大企業では、実際の税負担率は30%前後にまで下がってしまう場合が少なくありません。

 もう一つは、企業の公的負担を考える場合、税だけではなく社会保険料の事業主負担も考慮する必要があります。フランスやドイツの企業は税率だけなら日本企業より負担が軽く見えますが、社会保険料の負担はずっと重くなっています。財務省の試算でも、税と社会保険料をあわせた大企業の公的負担は、フランスやドイツは日本の1・2〜1・3倍となっています。

 ヨーロッパなどに進出している日本企業は、現地でこうした高い税・社会保険料を負担しており、「国内では負担できない」という理屈にはなりません。大企業が法人税率の引き下げを求めるのは、税引き後の利益や株主配当を増やしたり、株価を上昇させたりしたいからです。「法人税が高いと競争力が低下する」とか、「企業が海外に逃げてしまう」とかいう議論は、その口実にすぎません。(垣)

 〔2010・1・13(水)〕


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