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2010年1月16日(土)「しんぶん赤旗」

主張

海自インド洋撤退

違憲の戦争支援 検証と反省を


 新テロ特措法が15日失効し、2001年のアメリカ同時テロ以降8年にわたりインド洋で米艦船などに給油支援してきた海上自衛隊が撤退することになりました。

 イラクで戦争を支援した陸自は06年7月に、08年12月には空自がイラクから撤退しました。海自が撤退することで戦争支援の自衛隊は撤退したことになりますが、「海賊対策」を理由にしたソマリア沖への派兵は続いています。イラクでの戦争支援は憲法に違反するとの名古屋高裁判決が確定しています。違憲の海外派兵を繰り返さない反省とけじめが必要です。

米軍の武力行使と一体

 「同盟国として米国を強く支持し、最大限の支援を行う」(01年9月23日、小泉純一郎首相)―。アメリカ同時テロ直後、小泉首相はこういって、「対テロ戦争」の戦場であるインド洋に自衛隊を送り込み、給油支援を始めました。

 現に戦争が行われている地域に自衛隊を出動させるのは初めてで、米軍の戦争を支援する道を切り開いた歴史的暴挙です。その後、アメリカのイラク侵略に伴い、イラクにも自衛隊を派遣しました。その政治責任は重大です。

 アフガニスタンでの戦争は同時テロに対する「報復」の戦争です。しかし、戦争でテロがなくせなかったことは、いまだに首謀者の逮捕もできず、アフガンの治安も確保できていない8年間の事態が証明しています。

 日本の給油支援は、憲法9条をふみにじった、明らかな戦争協力です。自公政府はアフガン領土での武力行使とは違うといって給油支援を正当化しましたが、現に戦争している軍隊の活動を支援したことは明らかです。NATO(北大西洋条約機構)は米軍への給油支援を、戦争に協力する集団的自衛権の行使として行っています。日本の給油支援だけが違うというのは通用しません。

 アメリカはアフガンとイラクでの戦争を一体でたたかっており、日本の給油がアフガンだけでなくイラクでの戦争をも支援するものになっていたのも明らかです。現にイラク攻撃に参加する米海軍部隊への脱法的な給油も明らかになりました。

 日本の給油支援が米艦船のアフガン空爆を支え、罪のないアフガン市民に大きな被害をもたらしたことは、きわめて重大です。06年9月に米強襲揚陸艦「イオウジマ」に行った給油では、給油直後から攻撃機ハリアーが出撃し、136回も空爆しました。戦争を否定した憲法を持ち、戦後一貫して他国の国民を殺したことがないといわれた日本が、アフガンでは民間人殺りくに手を貸した事実は、絶対に消し去ることはできません。

軍事同盟絶対をただせ

 憲法違反の自衛隊派兵を撤退に追い込んだのは、国民の世論と運動の力です。アメリカは引き続き日本の戦争支援を求めていますが、戦争でテロが根絶できないことが明らかな以上、テロと武力行使の悪循環を断ちきり政治的解決に切り替えることこそ急務です。

 日本政府が戦争協力を続けた根本には、日米軍事同盟があります。12日開かれた日米外相会談は、日米同盟を「21世紀にふさわしい形で深化」させると合意しましたが、日米軍事同盟絶対のこうした異常をただしていくことが21世紀の日本に不可欠です。



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