文字の大きさ : [] [] []

2010年1月18日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

子ども医療費 中卒まで無料

うれしいね 入院・通院とも


 子どもの医療費無料化を願う声と運動を受けて、拡充する自治体が広がっています。日本医師会も「子どもの医療費無料化」を掲げています。群馬県とさいたま市では、昨年10月から所得制限など要件を設けず窓口負担もなく、中学卒業まで無料になりました。


“お金の心配がなく安心”

群馬県

 「お金の心配なく安心して医者にかかれる」―群馬県で昨年10月から、子どもの医療費が中学卒業まで無料になり、保護者らから喜びの声があがっています。所得制限などの条件をつけないで入院・通院とも中学卒業まで無料というのは都道府県では全国初です。

待ち望んでいた

 「無料化になるのを待ち望んでいた」と話すのは、子育て真っ最中の女性(42)=前橋市=。大学2年、高校2年、小学5年生の3人の母親です。

 子どもの医療費無料化制度は1973年にゼロ歳児だけの無料制度として、全県でスタートしました。2001年8月、全市町村で就学前まで無料化が実現したものの、県は入院が4歳、通院が2歳まででした。

 無料化拡充を願う県民世論や、独自で中学卒業まで実施する自治体が急増する中で、07年7月の知事選で当選した大沢正明氏は「子どもの医療費無料は義務教育が終了する15歳までに拡大します」とはっきり公約。翌年4月から、通院は就学前まで、入院は中学卒業までの無料化が実現しました。

 女性の長女(11)は一昨年夏、皮膚の手術のため、数日間入院しました。女性は「無料制度で本当に助かりました。お金の心配なくいつでもどこでも安心して医者にかかれます。できれば高校卒業まで無料にしてほしい」と要望します。

 その後、中学卒業までの完全無料化に際し、所得制限や自己負担金などの給付条件を設けることを知事がいったん表明したものの、市町村などが猛反発。新日本婦人の会群馬県本部も“条件なし”を要請し、ついに県は、09年度当初予算で約25億6800万円(前年度比40%増)を計上、10月から中学卒業までの完全無料化に踏み切りました。

 20年以上も前から粘り強く無料化を求める運動をすすめてきた県内諸団体と、県議会や地方議会で一貫して取り上げてきた日本共産党の大きな成果です。

 「医療費負担を気にせずに受診できるというのは、医師にとっても保護者にとっても安心です」と語るのは、小児科医の深澤尚伊さん=前橋協立病院長=。患者の医療費負担を考えて、それまで控えていたアレルギーの検査なども出しやすくなったといいます。

医療費抑制にも

 “安易な受診が増え、医療費がかさむ”という意見に対して深澤医師は「実際には患者数はほとんど変わらない。むしろ早期の受診で医療費は抑えられているのでは」と反論します。そして、医療費無料化にとどまらない抜本的な子育て支援策が求められるとして、「“子どもの貧困”問題は深刻です。その解決に向けて共産党には引き続き頑張ってほしい」と期待を寄せています。(群馬県議候補=前橋市区、酒井宏明)


“ママの声が政治動かした”

さいたま市

 さいたま市では、昨年3月の臨時議会で子ども医療費を中学卒業まで、通院も無料化することを全会派一致で可決し、昨年10月から中学卒業まで入院・通院とも完全無料となりました。全児童・生徒を対象に中学卒業まで入院・通院とも無料は18の政令市では初めてです。

 幼児2人を保育園に通わせている若いお母さんは「保育園ではやる病気をもらってきます。10月にはインフルエンザも2人一緒でした。給料前でもお金の心配なく、窓口でカードを出すだけになって本当に楽になりました。ママの声が政治を動かしたってことね。ありがとう」と話しています。

手続きも簡素に

 受診手続きも簡素化され、窓口で健康保険証と「受給者資格証」を提示すれば無料で受診できることになりました。2003年に導入された所得制限については08年に廃止されており、今回の改定で、子ども医療費無料化制度の大きな峰に達したといえます。

 日本共産党市議団は、01年合併後の本会議だけでも47回にわたって要求するとともに、毎年の予算要望や32回におよぶ新日本婦人の会など市民請願の紹介議員になるなど、実現へ全力を挙げてきました。この力が、市長と自民・公明・民主各党を動かしました。

 一昨年の9月議会で日本共産党の代表質問に対し、市長が所得制限をなくし、対象年齢を拡大することを表明しました。昨年2月議会の当初には「入院医療費のみ無料にする。実施は4月から」としていました。

 5月の市長選に民主党推薦候補(前自民党県議)の立候補が明らかになるなかで、予算議会直後に臨時会が開かれ、「通院も無料にする。実施は10月1日から」と決まり、多くの人から喜びの声が寄せられました。

粘り強い運動で

 新婦人大宮支部事務局長の鈴木通子さんは、「市議会に請願を繰り返し提出してきました。『財源がない』『格差を助長する』などの理由で29回も不採択にされました。やっと私たちの願いが実現できて本当にうれしいです」と振り返ります。

 新婦人浦和支部長の東山寿美子さんも「新婦人と日本共産党市議団が30年にわたって運動してきた結果です。安心して未来の宝である子育てができます」とこれまでのたたかいを振り返り、喜びを語ってくれました。 (さいたま市議・あがつま京子)

さいたま市の子ども医療費無料化

2003年1月 小学校入学前まで年齢拡大、窓口払いの撤廃。所得制限導入

 07年2月 日本共産党市議団が中学卒業までの無料化の条例提案、自、公、民の反対で否決。請願も自、公、民が否決

 08年4月 入院のみ中学卒業まで無料に、所得制限撤廃、手続き簡素化

 09年3月 中学卒業まで通院も無料化の条例可決、民主党の半年先送り修正案は否決


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp