2010年1月22日(金)「しんぶん赤旗」

韓国の米国産牛肉輸入解禁批判

番組制作者が全員無罪


 韓国のソウル中央地裁は20日、米国産牛肉の輸入解禁をめぐり、政府の政策を批判する番組を制作したとして名誉棄損などの罪に問われていたMBCテレビの番組プロデューサーら5人全員に対し、無罪の判決を言い渡しました。被告らの弁護人は、「国民の知る権利と民主主義を守った判決だ」と歓迎しました。

 番組は、2008年4月の米韓協議で韓国政府が米国産牛肉の輸入全面解禁に合意した直後に放映。牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛の肉が国内に流入する可能性と、それを食べることによる変異性クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)感染の危険性などを指摘しました。

 同年5月から数カ月にわたって、輸入解禁に反対する大規模な反政府デモが起きたきっかけの一つとも言われています。

 鄭雲天(チョン・ウンチョン)農林水産食品相(当時)と米国産牛肉の輸入販売業者が、名誉棄損と業務妨害だとして制作者を告発。09年6月、ソウル地検は「意図的な誤訳や、わい曲などにより、事実に反する報道をした」として、5人を在宅起訴していました。

 ソウル地裁は今回の判決で、全体として番組内容に虚偽の事実はなかったと判断。「韓国人が狂牛病にかかった牛肉を摂取した場合、発病したり、ヒトBSEに感染する確率が94%程度になる」という報道についても、「全体的に事実」だと認定しました。

 番組制作陣の一人は、「権力を批判し、監視するのが言論の使命なので、誇らしく、ありがたい。数多くの弾圧と苦痛に耐え抜いた制作陣に対しすまなく思う」と語りました。

 番組制作者らに対する捜査を「言論弾圧」だと批判してきた野党は、歓迎の声明を発表。政府に言論の自由を保障するよう求めました。(中村圭吾)


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