2010年1月23日(土)「しんぶん赤旗」
水俣病訴訟に解決勧告
熊本地裁
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水俣病不知火患者会(大石利生会長)の未認定患者が国・熊本県、チッソに損害賠償を求めた「ノーモア・ミナマタ訴訟」で22日午前、熊本地裁(高橋亮介裁判長)は和解を勧告し、午後から第1回和解協議が開かれました。勧告は原告、被告双方が要請していたものです。国が解決のためのテーブルに着くのは水俣病裁判史上初めてです。
勧告後、大石会長は「4年3カ月でやっと和解勧告が出された。すべての被害者の救済をめざす。これからが新たなたたかい。大縄跳びと同じで、一緒の気持ちでがんばろう」と決意を表明。
園田昭人弁護団長は「国をテーブルに着かせたのはたたかいの大きな成果。これから中身が論議されるが、“すべての被害者の救済”“ノーモア・ミナマタ”を掲げていかないといけない」と述べました。
和解協議は非公開で行われ、終了後、原告・弁護団は記者会見で、双方がそれぞれの基本的立場を主張したことを明らかにしました。原告側は(1)国・県、チッソの責任の明確化と水俣病被害者と認めること(2)原告側が提出した共通診断書による判定(3)最高裁判決容認額の一時金、療養手当、医療費などを争点とするよう主張し、不知火海沿岸住民の健康調査も求めました。国側は次回、判定の仕方についてアイデアを出すことを表明しました。
次回協議は2月12日午後1時30分から。報告集会では日本共産党の安達安人参院熊本選挙区候補が来賓としてあいさつし被害者を激励しました。
なお、原告弁護団は声明を発表。「水俣病問題の解決に向けた歴史的転換点」とするとともに「すべての被害者が最高裁判決にしたがった正当な補償を受けるための司法救済制度の構築を勝ち取るために協議をおこなう」とのべました。