2010年1月23日(土)「しんぶん赤旗」
米大統領 新金融規制案を発表
銀行のヘッジファンド投資禁止
【ワシントン=西村央】オバマ大統領は21日、大手金融機関の規模に一定の制限を設けることや、商業銀行のヘッジファンド投資などを禁止する金融規制案を発表しました。
米国では、銀行と証券との機能分離を定めていた「グラス・スティーガル法」を1999年に事実上廃止し、「規制緩和」を進めた結果、銀行もリスクを伴う投資に走っていました。今回の金融危機を受け、この流れを是正すべきであるとの意見が出され、金融機関が破たんしても「大きすぎて、つぶせない」という状況をなくすのが狙いと見られています。
新たな規制案の柱の一つは、顧客から預金をあずかる銀行がヘッジファンドを所有したり、ヘッジファンドに投資することを禁止するというものです。オバマ大統領は発表にあたって、「銀行など金融機関が短期の利益の追求で、巨額で無謀なリスクを抱えた結果、金融危機が発生し、経済危機の引き金にもなった」と指摘。事業範囲の制限が再発防止策のために欠かせないとの認識を示しました。
もう一つの柱は、金融機関の合併にともなう規模拡大の制限です。業界内でのシェアを一定の目安にして、最大の金融機関の負債規模に制限を設けるというものです。大統領は、「単一の銀行にリスクが集中するのを防ぐため」とその理由を説明しました。
新規制案は、議会との調整のうえ、審議中の金融規制改革法案にも盛り込まれることになります。