2010年1月26日(火)「しんぶん赤旗」
論戦ハイライト
高橋議員の質問 衆院予算委
派遣法改正 国民の期待裏切るな
労政審案の問題ただす
「モノのように扱われる働き方を変えてほしい」――日本共産党の高橋ちづ子議員は25日、この願いを背に衆院予算委員会で政府の姿勢を正面からただしました。
高橋氏は、日産で6年間更新を繰り返し、雇い止めにされた女性の例を引きながら、「多くの労働者が今度こそと派遣法の改正に注目している」と鳩山由紀夫首相に法改正の原点をただしました。鳩山首相は「いま話にあったような状況に十分対処できる派遣法をつくりたい」と答弁しました。
有期雇用認める
そこで、高橋氏は昨年12月、政府の労働政策審議会が答申した改正案の問題点を一つひとつただしました。
高橋 答申では製造業派遣は「常用型を除き」禁止すべきとなった。常用型派遣とは「期間の定めのない」労働か。
長妻昭厚生労働相 常用雇用の定義は「1年を超える雇用」だ。
高橋氏は、常用型といっても有期雇用を認めていると指摘。さらに、派遣契約を中途解除された6割以上が常用型であり、そのうち87・2%が離職し、うち87・9%が派遣元から解雇されているという厚労省の調査結果(昨年5月発表)を示し、「常用型派遣だからといって雇用が安定しているとは一切いえないことは明らかだ」と指摘しました。
高橋 常用型を例外とするなら「期間の定めのない(雇用とする)」と明記すべきだ。
厚労相 答申は労使のぎりぎりの合意だ。経済危機で常用型についても雇用が切られることがあったが、基本的に平時には、このような数字が繰り返すことにはならない。
高橋 労政審の答申より、実際は細かい(法案)要綱を政府が決めることになる。政治主導で(抜本改正案づくりを)やるべきだ。
“抜け穴”だらけ
仕事があるときだけ雇用される登録型派遣の原則禁止についてはどうか。答申では「専門26業務」を例外とする“抜け穴”が開いています。
高橋氏は政府の統計でも、派遣労働者約400万人のうち約100万人が「専門業務」となっているが、約45万人がパソコンなどを扱う「事務用機器操作」だと指摘。「名ばかり専門職」の実態がある上に、「答申の通りなら『専門業務』は派遣期間制限を超えても雇用申し込み義務がなくなる。まさに企業に都合のいい“抜け穴”になっている」と強調しました。
厚労相 単純な製造業派遣とは一線を画している。
高橋 契約上は専門職だが「名ばかり」と問題になり、いま裁判もたたかわれているではないか。
高橋氏は、月刊『人材ビジネス』編集主幹の三浦和夫氏が、登録型派遣の原則禁止が5年後の施行となっており、「登録型派遣の原則的復活の可能性を否定していない」と指摘していることを紹介。「業界に(施行をまつ間に)元に戻ると見透かされている。こんな改正では国民の期待を裏切る」と批判しました。