2010年1月30日(土)「しんぶん赤旗」

労資協調主義路線が重大な弱点とは?


 〈問い〉 大会決定は連合の労資協調主義路線を批判しています。どんな考えですか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 労働組合は、(1)要求で団結(2)資本からの独立(3)政党からの独立―という、民主的基本原則を守ることによってこそ、労働組合としての団結が守られ、団体交渉権を力に労働者の立場に立って、職場の要求や労働条件などの改善を前進させることができます。

 「会社が儲(もう)かれば労働者の賃金も上がる」といって、実際には労働者の要求を抑える労資協調主義の考えの間違いは、この10年間の経済の実態を見れば明らかです。企業の内部留保は400兆円と倍加していますが、逆に労働者の年収は42万円以上も減らされ、長時間労働と過労死・メンタルヘルスの悪化が職場に蔓延(まんえん)しています。

 昨年暮れの東京都の「公設派遣村」には800人以上が身を寄せました。全国でも深刻な事態が広がっています。多くが、労資協調主義を進める大手製造大企業や下請け関連企業で働き職を失った労働者です。正社員にも賃下げ、リストラの波が襲いかかっています。「非正規労働者切り」を進めた、製造大企業(資本金10億円以上)のためこんだ利益剰余金は約64兆円(2009年9月末)もあり、雇用を守る体力は十分にあります。

 自動車や電機などの大企業製造職場では、不当解雇された労働者が労働組合を結成し、雇用と権利を守れとたたかっています。連合など労資協調主義の労組はこうした問題を取り上げようとはしません。労資協調主義では、当たり前の労働者の要求が守られないのです。

 日本では70年代の恐慌時に大企業労組で労資協調主義が進められ、90年代の不況の中で非正規労働者の拡大と成果主義が広がり、前述の三つの基本原則が弱められました。

 財界・大企業は経済危機を口実に、今春闘では定期昇給の凍結まで言い出し、労資協調主義の大企業労組も賃上げを自粛しています。労資協調主義ではなく、対等な労資関係のルールを確立し、たたかってこそ、労働者の雇用や当たり前の要求と権利を守ることができます。(加)

 〔2010・1・30(土)〕


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