2010年1月31日(日)「しんぶん赤旗」
ブレア前首相 喚問
イラク侵攻「後悔なし」と居直る
【ロンドン=小玉純一】英国のイラク戦争参戦を検証する独立調査委員会の公聴会で29日、2003年の侵攻を決めたブレア前首相が証言しました。公開の場でブレア氏が証言するのは初めてです。
ブレア氏は、「サダム・フセイン(当時大統領)の脅威」を強調して侵攻によるフセイン政権打倒を正当化。「後悔していない」「(当時と同じ条件なら)再び侵攻する」と述べました。
07年までのイラクの民間人死者数増大に関し、ブレア氏は全体で約10万という数字を示して「殺したのは連合軍でなくテロリストだ」と占領軍の責任を回避しました。
調査委ではチルコット委員長と5人の委員が6時間にわたり喚問。イラクで戦死した兵士の遺族も傍聴しました。
ブレア氏は、イラクが兵器製造能力を高めていたと確信していたと証言。他方、フセイン政権打倒後の計画については不備を認めました。
英メディアは証言をトップニュースで報じ、遺族の反応も大きく伝えました。
04年にイラクで息子を失ったローズ・ジェントルさんは「彼(ブレア)は遺族に少しの同情も示さなかった」と批判。「私の怒りは死ぬまで収まらない」、「私は(イラク戦争から)学ぶべき教訓を知りたい」と語りました。
イラクでの英兵の死者は179人に上っています。
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