2010年2月1日(月)「しんぶん赤旗」
“旧日本軍、南京で虐殺”
日中歴史研究 犠牲者数は両論併記
日中両国の歴史認識の溝を埋めようと、双方の研究者で構成される「日中歴史共同研究」(座長=北岡伸一東大教授、歩平・中国社会科学院近代史研究所所長)の第1期報告書が31日、公表されました。報告書は約550ページで、古代から近現代までの歴史を、日本側委員と中国側委員がそれぞれの立場から記述しました。
1937年12月の「南京虐殺事件」について、日本側は「日本軍による捕虜、敗残兵、便衣兵、及び一部の市民に対して集団的、個別的な虐殺事件が発生し、強姦(ごうかん)、略奪や放火も頻発した」と認めました。一方、犠牲者数については、中国側が主張する20万人〜30万人をあげる一方、日本側では「20万人を上限として、4万人、2万人など様々な推計がなされている」として、両論併記としました。
これに対し、中国側は「総数30万人余り」とし、「日本軍の放火、殺人、強姦、略奪は国際法の重大な違反」と批判しました。
また日本側は、31年9月のいわゆる「満州事変」や30年代の「南進政策」=東南アジアへの侵攻について、日本の「自給自足圏」確立が狙いだったと述べ、領土拡張の意図があったことを指摘しました。一方、日中戦争全体の評価については「戦場となった中国に深い傷を残したが、その原因の大半は日本側が作り出した」「日本軍による様々な『非違行為』があった」などと記述したものの、侵略戦争だったとの断定は避けました。中国側は「対中国侵略戦争」と明記。日本の「731部隊」が細菌兵器開発のため人体実験を行ったことにも言及しています。
1989年6月の天安門事件などを含む戦後史については、中国側の要請で公表を見送りました。
日中歴史共同研究は2006年10月に安倍晋三首相(当時)と胡錦濤・中国国家主席が合意。同年12月に第1回会合が開かれ、昨年末の第4回会合で「第1期」が終了しました。今後、第2期の研究が行われる予定です。