2010年2月9日(火)「しんぶん赤旗」
労働者 中小企業 「使い捨て」から転換を
大企業の内部留保を還元せよ
衆院予算委 志位委員長が質問
首相 「派遣『専門26業務』見直し検討」
「労働者と中小企業を『使い捨て』、国民の犠牲のうえに一握りの大企業が巨額の内部留保をため込む。この道を続けては、国民生活も日本経済も未来はない」――。日本共産党の志位和夫委員長は8日、衆院予算委員会で質問に立ち、政府に、旧来の経済政策からの転換を強く迫りました。他党議員からも、何度も「その通りだ」の声、拍手がおこりました。(詳報)
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志位氏はまず、大企業がもうけても国民の暮らしに回らず、過剰な内部留保となって蓄積されるシステムが、日本経済の成長力を損なっていることを強調。このシステムを変える必要性を力説し、二つの改革を具体的に提起しました。
第一は、“非正規社員から正社員への雇用転換”をすすめるルールをつくることです。
志位氏は、労働者派遣法をめぐり、政府が目指している改正の二つの“抜け穴”を指摘し、政府の姿勢をただしました。
一つは、「製造業派遣の原則禁止」といいながら、「常用雇用」(常用型派遣)が「禁止の例外」とされている問題です。
志位氏は、キヤノンなど大企業での派遣労働者の実態を示しながら、厚労省の調査では、派遣先が派遣会社との派遣契約を解除すれば、「常用型派遣」でも76・7%もの労働者が解雇されていると強調。「常用型派遣」を例外とすれば、労働者はいまの低賃金・不安定雇用から抜け出すことができないと述べ、製造業派遣の全面禁止を迫りました。
もう一つの“抜け穴”は、「登録型派遣の原則禁止」としながら、現行の「専門26業務」を例外としていることです。
志位氏が「専門26業務」で働く100万人の半数近くがパソコンなどを扱う「事務用機器操作」であり、「専門」業務を抜本的に絞り込む必要があると求めると、首相も「パソコンは誰でも使える。果たしてそのままにしておいていいのか検討する必要がある」と「26業務」の見直し検討を表明しました。
志位氏が提起した第二の改革は、大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくることです。
志位氏は、大企業と中小企業の労働者の賃金格差が拡大しているが、その原因の一つに、下請け単価の切り下げがあると指摘。零細業者の悲痛な訴えを紹介し、大企業の無法を告発したのに対し、首相は「厳格な下請代金法の執行や下請振興法の振興基準の周知が大事だ」と答弁しました。
そこで志位氏は、下請法の執行状況を質問。公正取引委員会は、この5年半で「買いたたき」として勧告処分を受けたのは1件しかないことなどを明らかにしました。
志位氏は、大企業に立ち入って、公正な取引が行われているのか、受け身ではなく主導的に検査する態勢に抜本的に改めるべきだと強く迫りました。また、下請振興法にもとづく実態調査と本腰を入れた振興策を求めました。
最後に志位氏は、「町工場は『日本の宝』。この灯を消してはならない」とのべ、貸工場の家賃やリース代などの固定費に対する直接補助の実現を求めました。首相は「補助は難しい」と答弁しましたが、「町工場は日本の宝であり、その灯を消してはならない」とものべました。
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