2010年2月9日(火)「しんぶん赤旗」

主張

予算委総括質問

大企業「独り占め」の転換こそ


 経済危機から国民の暮らしを守るためには、大企業が利益を独り占めしてきた、旧来の政治の転換こそ必要―日本共産党の志位和夫委員長の説得力のある論戦が、鳩山由紀夫首相以下を圧倒した衆院総括質問でした。鳩山首相も、労働者派遣法の改正で規制の例外となる「専門26業務」の見直しなどを認めざるをえませんでした。

「二つの改革」を提案

 昨年のリーマン・ショック以降、日本経済は世界の先進国のなかでも最も落ち込みが激しくなっています。その根本には日本経済の異常なゆがみがあることを、志位委員長はずばりと指摘しました。

 リーマン・ショック前の10年で雇用者報酬を減らしたのはG7(主要7カ国)の中で日本だけです。他方で日本の大企業は内部留保を142兆円から229兆円へと大幅に膨らませました。根本にあるのは国民が生んだ富を大企業が「独り占め」するシステムです。

 労働法制の規制緩和による正社員の非正規社員への置き換え、リストラ・賃下げ、下請け単価の買いたたき―。「異常」な実態を生み出すシステムそのものの改革を、暮らしと経済を立て直す経済戦略の柱に据える必要があります。

 志位委員長が提案した改革の一つは「安定した雇用」を保障する社会的責任を大企業に果たさせること、特に非正規社員から正社員へ雇用転換を進めるルールづくりです。鳩山内閣が進める労働者派遣法の改正では、「抜け穴」が明らかになりました。「製造業派遣の原則禁止」といいつつ「常用型」を例外とし、「登録型派遣の原則禁止」といいつつ「専門26業務」を例外にしていることです。

 パナソニックが進める短期契約を反復継続する派遣も、キヤノン子会社が次々解雇してきた「期間の定めのない」常用型派遣も製造業派遣の「禁止の例外」です。大企業は今まで通り派遣を利用し、「使い捨て」にできることになります。志位委員長が求めたように、製造業への派遣は例外なしの全面禁止に踏み出すべきです。

 25年前に決めた「専門26業務」の「事務用機器操作」には、ワープロやパソコン操作などが入っています。これでは事務系の仕事は、ほとんど「専門業務」として例外扱いになってしまいます。抜本的に見直すよう求めた志位委員長に、長妻昭厚労相は「私も緩い定義だと思う」と答えました。鳩山首相も「しっかり検討する必要がある」と明言しました。ことばだけでなく実行が不可欠です。

 志位委員長がもう一つの改革として求めた大企業と中小企業の公正取引のルールの問題でも首相は「町工場の灯を消してはならない」などと答えました。そのことばをつらぬくなら、志位委員長が求めたように、中小企業政策を抜本的に転換し、実態をよく調査して、中小企業への「固定費補助」を実現することなどが不可欠です。

経済の健全な発展に

 各紙の世論調査で鳩山内閣への支持率を不支持率が上回る状態が続いています。不支持理由では「経済政策に期待が持てない」「政治のあり方が変わりそうにない」という答えの増加が目立ちます。

 いまこそ旧来の政治の転換によって大企業の巨額の内部留保と利益を国民に還元させて、日本経済の健全な発展の道を開くことを、国民は強く求めています。



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