2010年2月17日(水)「しんぶん赤旗」
「里親制度」の役割をどう考える?
〈問い〉日本共産党は「里親制度」についてどう考えますか。制度の内容とあわせて教えてください。(兵庫・一読者)
〈答え〉里親制度は、児童福祉法にもとづいて、保護者がいない、または虐待その他の理由で養育できない児童を社会的に育てる仕組みです。
社会的養護を必要とする児童は年々増え、現在、4万人を超えます。里親に委託されている児童は約3600人で9%弱、9割以上が児童養護施設等に入所しています(2008年)。親の愛情に恵まれず、親との別れや虐待等さまざまな体験をした子どもは、深く傷ついています。だからこそ家庭的環境で、安定した人間関係での養育が重視されるようになっています。
里親制度は「養育里親」「専門里親」「親族里親」「養子縁組を希望する者」の四つがあります。「養子縁組を希望」以外は養子縁組を前提としていません。
「養育里親」は経済的に困窮していない、児童虐待行為がない等の要件があり、認定前研修が義務づけられました。「専門里親」は虐待経験や非行、障害のある児童も養育するため、里親経験または児童福祉関係の資格等が必要です。「親族里親」は3親等以内の親族が対象です。
「養育里親」「専門里親」には、児童数に応じた里親手当と児童の生活費等が支給されます。「親族里親」「養子縁組希望」は、生活費のみの支給です。
日本共産党は、家庭的で手厚い養育が可能な里親制度には重要な役割があり、いっそうの充実が必要だと考えます。国連「子どもの権利条約」には、家庭環境を奪われた児童に対し、国の責任による「代替的な監護」の確保が明記されています。
しかし日本では、里親制度の普及が諸外国と比べても大きく遅れています。里親手当等の改善や研修制度の充実、支援・相談体制の強化とともに、里親に委託・支援する児童相談所の体制強化、専門機関との連携強化が必要です。里親制度の周知も不可欠です。そのためにも社会的養護関係の予算をはじめ、「子どもの貧困」を克服し子育てを社会全体で支える予算の抜本的な増額を求めています。(玲)
〔2010・2・17(水)〕