2010年2月18日(木)「しんぶん赤旗」
ノーモア ミナマタ東京訴訟
首都圏23人が提訴へ
不知火海の魚毎日食べ…手に異様な冷え
弁護団会見
水俣病不知火患者会(大石利生会長)とノーモアミナマタ東京訴訟弁護団は17日、環境省で記者会見し、首都圏在住の未認定水俣病公害被害者23人が国、熊本県、加害企業「チッソ」に損害賠償を求めるノーモアミナマタ東京訴訟(第1陣)を23日に東京地裁に提訴することを発表しました。同熊本訴訟(1〜19陣)の2126人、同近畿訴訟の12人とあわせて2161人の集団訴訟に発展します。
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同東京訴訟原告団は、水俣病不知火患者会などが7日に都内で実施した検診で、はじめて水俣病と診断され、公害健康被害補償法による行政認定申請した人たちで構成されます。熊本県、鹿児島県から首都圏に移り住んだ35歳から77歳。救済対象地域外や、国が新たな水俣病患者発生はないとしてきた1969年以降に生まれた人も含まれます。
原告となる小山顕治さん(61)=東京都=は「旧河浦町(熊本県天草市)に16年間すみ、不知火海の魚を毎日食べていた。検診を受けて、水俣病と診断されたとき、やっぱりそうだったのかと思った。手が異様に冷え、しびれるようになった。足首から下も冷えに耐えられなくなっていた。診断が下った以上、提訴しなければと思った」と語りました。
山本明彦さん(53)=東京都=も「18年間、(伊唐)島にいて、魚を毎日食べていた。水俣病とは思っていなかった。手がしびれたり、階段を踏み外したり、足がつったりするのは加齢のせいかなと思ったが、へんだなあと思っていたことが診断でわかって…」と少ない言葉に悔しさをにじませました。
尾崎俊之弁護団長は「7日の水俣病検診では、49人のうち40人が初めて検診を受けた人たちでした。不知火海沿岸からの首都圏移住者には、公害被害者と知らされないまま放置されている人がいます。見捨てられてきた人たちを救済するのが訴訟の目的だ」と訴えました。同患者会は、首都圏在住者を対象に4月11日に2回目の水俣病検診を実施する予定。