2010年2月23日(火)「しんぶん赤旗」

病院追い出し全年齢に

衆院予算委 高橋議員 廃止訴え

後期医療の差別を拡大


 民主党自身がかつて「病院追い出しにつながる」と批判していた高齢者の差別医療の仕組みを全年齢に拡大するのか―。日本共産党の高橋ちづ子議員は22日の衆院予算委員会で、75歳以上の患者が90日を超えて入院すると病院の収入が激減する後期高齢者特定入院基本料について、政府が廃止するどころか4月からの診療報酬改定で全年齢に拡大しようとしている問題を厳しく追及しました。


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(写真)質問する高橋ちづ子議員=22日、衆院予算委

 高橋氏は、長妻昭厚生労働相が野党時代にこの仕組みを批判していたことを指摘し、「あなたが『早期退院を迫るものだ』と指摘していたこの基本料を全年齢に拡大することが、差別的扱いをなくすという意味なのか」と迫りました。

 長妻氏は、病院が退院支援状況報告書を出せば診療報酬は下がらないと弁明しつつ、「限られた病床数の中で急性期・亜急性期の方に入っていただくという趣旨」などと、全年齢にわたって早期退院を迫る狙いであることを認めました。

 退院支援状況報告書は、退院や転院へ向けての努力を毎月示せというものです。高橋氏は、「結局、病院ではみ出す人は介護へ行けということだ」と批判。介護分野では特別養護老人ホームの入所待機者が42万人にのぼる中、「さらに多数の医療難民、介護難民が生まれることになる。特定入院基本料はやめ、(介護療養病床全廃などの)療養病床削減計画もやめるべきだ」と迫りました。

 長妻氏は特定入院基本料については弁明を繰り返し、療養病床削減計画についても「(計画の)猶予(ゆうよ)も含めて練り直す」と述べるにとどまり、中止を明言しませんでした。

 高橋氏は、民主党政権がやめるといってきた社会保障の2200億円削減路線と、本当に決別できるかどうかは、この問題でこそ試されていると力説し、後期高齢者医療制度そのものの即時廃止を強く求めました。


 後期高齢者特定入院基本料 75歳以上の患者が一般病棟に90日を超えて入院すると、高密度の医療を必要とする12の場合を除き、医療機関への診療報酬が大幅に減額される仕組み。1998年に導入されましたが、2008年の後期高齢者医療制度創設に伴い、認知症や脳卒中の後遺症のある患者にまで対象が拡大されました。診療報酬改定を議論する中央社会保険医療協議会(中医協)は12日、この仕組みを全年齢に拡大することを長妻厚労相に答申しました。



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