2010年2月24日(水)「しんぶん赤旗」

子ども手当法案にたいする

高橋議員の質問

衆院本会議


 日本共産党の高橋ちづ子議員が23日の衆院本会議で行った、子ども手当法案に対する質問は以下の通りです。


 「子ども手当」は、民主党が総選挙の政権公約のトップにかかげた、まさに鳩山内閣の「目玉」政策であります。その法案審議にあたっては、当然、鳩山総理自身が答弁の責任をはたすべきです。総理出席がないまま審議入りすることはきわめて無責任だと言わねばなりません。

 まず法案が、なぜ2010年度に限ったものとなったのか、財源や地方負担のあり方など制度の根幹にかかわる問題をすべて先送りした上で、ともかく、6月の支給を急いだものであることは否めません。子ども手当は、将来にわたる子育て支援策の体系のなかにしっかり位置づけてこそ、その目的をはたせるのではありませんか。

 この間の「貧困と格差の拡大」は、子育て世代に深刻な打撃を与えています。

 政府の世論調査によれば、「子育てのつらさ」の一番は「子どもの将来の教育にお金がかかる」で39・2%。「子どもが小さいときの子育てにお金がかかる」も20・1%です。一方、児童のいる世帯の平均所得は1996年以降11年間で9万円も下がっています。このもとで、日本の子どものいる現役世帯の貧困率はOECD(経済協力開発機構)30カ国中19番目という水準となっており、子どもの貧困率は14・2%という状態にあることを政府も初めて認めました。

 このような現状をもたらした原因と責任がどこにあるのか。それは、自民・公明政権のもとで、保育所整備をはじめ子育て・教育への予算を削減し、また生活保護の切り捨てや社会保障費の削減、低賃金や長時間労働、非正規雇用を拡大してきたことにあると考えますが、鳩山内閣の見解をもとめます。

 いま、子育ての土台を抜本的に強化することが必要です。

 子どもの養育に対する国の責任を明らかにしたうえで、保育所を増設し待機児童を解消する、義務教育を完全に無償化し、給食費、教材費、修学旅行の費用など義務教育の必要経費については保護者の負担にしないことなど、子育ての土台の整備をすることが必要だと思いますが、政府の見解を求めます。

 子育てのための現金給付、手当の充実は、そうした土台の整備とあわせて、いわば「車の両輪」ですすめてこそ、効果が出ると考えますが、見解をうかがいます。

 その一つとして、月額2万6000円の「子ども手当」が満額支給されると、「手当」の水準はフランスやドイツを超えるものになりますが、一方、保育などその他の現物給付は最低水準です。「手当」を配ったら、あとは、「自助努力、自己責任」ということになるのでしょうか。

 保育所については、先日の本会議で、総務大臣が「最低基準がずっとあっていいのか」と述べたことは問題です。保育所の設置基準や定員の上限を撤廃するならば、保育の質の低下をもたらし、子どもの安全も脅かされかねません。このようなことはただちに中止すべきです。

 すでに、ほとんどの自治体で取り組まれている乳幼児の医療費の無料化などは国の制度として行うべきではありませんか。

 次に法案について具体的にお聞きします。

 そもそも2万6000円という支給額の根拠について、ご説明ください。10年度はとりあえず、半額の1万3000円を支給するといいますが、次年度以降は満額になるのか、うかがいます。

 支給対象については、15歳以下のすべての子どもを対象に支給することでいいですか。里親や児童福祉施設など、社会的養護にあたる子どもへの支給についても分け隔てなくすべきです。子ども自身が実質的な利益を受けるように、丁寧な制度設計と扱いがなされるべきですが、見解をお聞きします。

 給食費や税金の滞納世帯に対して、滞納分を手当と相殺するという発言も聞こえてきます。子育てを「社会全体で支える」という制度の趣旨からいっても行うべきではないと考えます。

 最大の問題は、子ども手当の財源が増税とだきあわせになっていることです。

 控除の廃止による増税の影響についてですが、民主党は、増税と手当とで、手取りが減るのは全体の「4%未満」と説明しました。これに対して、全国5000万世帯のうち18%にあたる約920万世帯で増税となるとの試算がだされています。世帯別の影響とその根拠について説明してください。

 今回見送られた、配偶者控除の廃止や、23歳から69歳までの成年扶養控除の廃止については、次年度以降行うつもりですか。

 さらに、扶養控除の廃止・縮小にともなう増税だけでなく、保育料など23項目について連動して負担増が起こることが指摘されています。地方のさまざまな軽減策にも当然、連動します。この負担増はどれほどになるのでしょうか。負担増にならない対応とは具体的にどのようなものですか。

 政府は当初、国庫負担でといってきましたが、現行の児童手当の仕組みを残しました。総理は、「財源に余裕ができた分だけ支給する仕組み」をつくりたいと発言していますが、今後、地方負担、企業負担は、それぞれどうなりますか。

 また、財源として、民間保育所の運営費国庫補助分をあてることが検討されていますが、それは、絶対認められません。

 手当の支給ありきで、後から増税。しかも、その安定した財源を口実に、消費税の引き上げなどもってのほかです。

 わが党は、財源について、聖域扱いされてきた大企業や高額所得者への応分の負担や、軍事費は削減するという真剣な検討が必要であると考えています。その論議を通じて、真に安心安全な子育て社会をつくる方向をめざすべきだということを強く求めます。



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