2010年2月27日(土)「しんぶん赤旗」
日本軍「慰安婦」に強制はなかったとは?
〈問い〉 日本軍「慰安婦」は「公娼」で強制はなかったという人がいます。日本共産党の見解を教えてください。(広島・一読者)
〈答え〉 金学順(キムハクスン)さんが1991年、日本軍「慰安婦」として強制的に連行されたと実名で名乗りを上げてから、日本政府の態度が国際的に注目されています。
日本は1930年代から45年に中国侵略戦争をアジア・太平洋地域に広げ、各地に日本軍の慰安所をつくりました。多くの国から強制的にあるいはだまされて集められた少女が、軍人の性暴力にさらされました。
「慰安婦」問題は、旧日本軍が直接、間接に関与するなかで引き起こされたことは、歴史ではすでに決着済みです。宮沢内閣当時の河野洋平官房長官談話(93年)は「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」だと認定しました。「慰安婦」裁判の確定判決も性奴隷としての事実認定をおこなっています。
ところが日本政府は謝罪も補償もしていません。タカ派勢力は「慰安婦はいない」「強制はなかった」と叫んでいます。
日本政府の姿勢には、国際社会からも大きな批判が相次いでいます。米議会下院は2007年、日本政府が強制したことを認め、謝罪するよう求める「慰安婦」決議を採択しました。その後もオランダ、カナダ、EU(欧州連合)、韓国、台湾で決議が採択されています。国際社会では、「強制はなかった」などというのは、まともな歴史認識とは見られていません。
そもそも「公娼制度」が、人身売買と自由拘束を内容とする性奴隷制でした。まして日本軍「慰安婦」の場合は、外出も慰安所での使役を拒否する自由もありませんでした。故郷から遠く離れた土地で逃げ帰ることもできず、まったく軍専用の性奴隷だったといえます。
日本軍「慰安婦」問題は、戦後65年を経ても、いまだ解決していません。女性の人権を侵害した重大問題であり、この歴史的事実を基本認識として、「政府としての謝罪と補償をおこなうことが急務」(日本共産党第25回大会決議)です。(部)
〔2010・2・27(土)〕