2010年3月6日(土)「しんぶん赤旗」
医療保険の一元化をどう考える?
〈問い〉 日本共産党は医療保険の一元化をどう考えますか。(山梨・一読者)
〈答え〉 いまの制度では、自営業者や年金生活者は国保に入り、サラリーマンとその家族は健保に入るなど、働き方や状況に応じて、各自がさまざまな医療保険に加入しています。民主党政権は、市町村が運営する国保の保険料(税)が高いことなどを根拠に、「保険者間の格差解消」のためとして、「医療保険の一元化」を推進しようとしています。
しかし、市町村国保の保険料を高くしている最大の原因は、政府による国保への国庫負担の削減です。国の予算を減らしたまま「一元化」をしても、国保の財政難が健保に転嫁され、現役労働者の保険料が値上げされるだけで、制度の改善にはなりません。実際、歴代政権はこれまで、退職者医療や高齢者医療にかかる国保の負担割合を減らし、それを健保など被用者保険に肩代わりさせる制度改編を繰り返してきましたが、国保財政は好転せず、健保財政の赤字がふくらんだだけでした。
また、現在は被用者保険の保険料は労使の折半となっていますが、「一元化」を理由に事業主負担が縮減・廃止されれば、“労働者の健康保持に企業が責任を持つ”という公的医療保険の原則が崩され、国民の負担はさらに増大します。
さらに、たとえば建設業者の国保組合では、「有給休暇や退職金制度もなく、病気で仕事ができないと無収入になる」という加入者の実情をふまえて、割高の保険料を負担しながら入院費を軽減するなどの事業がおこなわれていますが、医療保険が「一元化」されれば、こうした“給付の上乗せ”も不可能になります。
保険者どうしに痛みを分かちあわせる「一元化」では安心できる医療制度は実現しません。
日本共産党は、本当に持続可能な医療保険財政を確立するために、▽減らされ続けた国庫負担の復元▽大企業の雇用破壊の規制と“保険料逃れ”の根絶▽高薬価・高額医療機器の是正▽予防や福祉の充実による国民の健康づくりの推進――などの改革を提案しています。(谷)
〔2010・3・6(土)〕