2010年3月7日(日)「しんぶん赤旗」
労働者派遣法 問われる各党
財界圧力に屈するのか
抜本改正へ共産党全力
政府が今月中にも国会に提出しようとしている労働者派遣法の改定案に対し、抜本的修正を求める声が強まっています。“「派遣切り」を再び起こさない”“いつまでも派遣社員でなく、正社員になりたい”という労働者の願いに応えるのか、「使い捨て」できる派遣労働を手放したくない財界・大企業の「抵抗と圧力」に屈するのか、各党の姿勢が問われています。
労働者無視だ
先月19日、「労働者派遣法の抜本改正をめざす共同行動」が、議員会館で開いた集会。派遣法の抜本改正を求めてきた労働者や弁護士から「派遣労働者の声が反映されていない」「これでは、派遣切りがまた繰り返される」との批判が相次ぎました。
それというのも、政府が提出を予定している改定案には、いくつもの大きな抜け穴があるからです。たとえば製造業派遣や登録型派遣について「原則禁止」としながら、「常用型派遣」や「専門26業務」を例外としており、“使い捨て労働”が温存される危険性を抱えています。また派遣先企業による事前面接の解禁など自公政権がつくった規制緩和案をそのまま踏襲した改悪部分も含まれています。実施時期も3〜5年先送りです。
日本共産党は3日、「派遣から正規雇用への道を開き、派遣労働者を守る改正に」とした修正提案を発表。「抜け穴」を許さず、製造業への派遣を例外なく禁止すること、「専門26業務」の抜本的見直しなどを求めました。
国会質問でも、志位和夫委員長、高橋ちづ子衆院議員、大門みきし参院議員らがとりあげ、専門業務の見直しについて鳩山首相が「しっかりと検討する必要がある」と答弁するなど変化を生み出しています。
与党内からも
こうした中、与党の中からも、修正を求める声が上がっています。閣僚でもある社民党の福島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)は今月2日、「(改定案には)問題点が多く、見直す必要がある」などと発言。国民新党の亀井静香代表(金融・郵政改革担当相)も、記者団に「労政審の意見がそのままというわけにはいかない。3党で合意しないと(法案は)出せない」(2月27日)などと語っています。
しかし、政府・民主党は、労政審答申を「ぎりぎりの労使の合意だ」(長妻厚労相)と、答申を口実にして深刻な問題点を抱えた法案を押し付けようとしています。労政審では、日本経団連など経営者代表が一切の改正に反対したため、その範囲での答申にとどまったのが実態です。財界・大企業に正面からものがいえない鳩山政権の姿勢が浮き彫りになっています。
「改正法案」提出のさいには、閣議決定が必要となり、社民党などの態度もするどく問われることになります。
自民、公明両党は、派遣労働の規制緩和を推進してきたことに反省がなく、自民党などはいまだに派遣法の抜本改正に反対し続けています。
法案提出を前に、派遣問題に取り組んできた労働組合や弁護士らは、抜本修正を求める新たな運動を広げようとしています。日本共産党の志位委員長は、修正提案を発表した記者会見で「労働者・国民のたたかいと力を合わせて実効ある抜本改正を目指して全力をあげたい」と述べました。(藤原直)