2010年3月8日(月)「しんぶん赤旗」
核密約 存在認め廃棄を
志位氏会見 歴史の偽造 許されぬ
日本共産党の志位和夫委員長は7日、福島県郡山市での記者会見で、外務省が今週発表するとされる日米核密約問題の調査に関して記者の質問に答え、「密約と認定したうえで、きっぱり廃棄をはかることがどうしても必要だ」と主張しました。
日米核密約は、日本に寄港・飛来する米艦船・航空機の核兵器搭載については安保条約の「事前協議」の対象外にして自由勝手にすることを認めたもの。2000年の国会審議で、日本共産党の不破哲三委員長(当時)が1960年の安保改定時に結ばれた「討論記録」を示して明らかにしました。
志位氏は「わが党が明らかにした『討論記録』では、第1節で、『岸・ハーター交換公文』として発表された『事前協議』についての取り決めがのべられ、第2節で『交換公文』の解釈についての了解事項がのべられている。その第2節C項のなかに、核兵器を搭載した米艦船・航空機の立ち入り(エントリー)は『事前協議』の対象としないことがのべられている」と指摘しました。
そのうえで志位氏は、「調査結果がどのようなものになるかは明らかではない」と断りつつ、「この間の報道では、政府による『調査結果』は、『討論記録』の存在は認めるが、それが核持ち込みの密約だったという認定は避けるというものになるとされている。しかし、『討論記録』は、核兵器持ち込みの密約そのものだ。その存在を認めながら、密約としては成立していないということになれば、歴史を偽造することになる」と指摘。そして、「密約としては成立していないとの結論になれば、廃棄の必要もなく、これまでと同じ状態を続けるということになる。こういう決着は断じて容認しがたい」と強調しました。
「この問題は、核兵器持ち込みという重大問題で、半世紀にわたって国民を欺いてきたという大問題だ。国会での徹底した集中審議をおこない、参考人なども招致して真相を明らかにしていく必要がある」とのべました。
無謀かつ危険、中止を
東電のプルサーマル計画
志位氏
志位委員長は7日の同記者会見で、東京電力が福島県ですすめるプルサーマル計画について記者の質問に答え、「一般の核燃料による原子力発電でさえ技術が確立しておらず危険なのに、プルサーマル計画をすすめることは無謀かつ危険であり中止すべきだ」とのべました。
福島県では佐藤雄平知事が条件付きでプルサーマル計画の受け入れを表明しています。これについて問われた志位氏は、「プルサーマル計画というのは、プルトニウムを繰り返し利用する計画が、高速増殖炉『もんじゅ』の大事故で破たんしたために、余ったプルトニウムをMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料として処理して燃やす計画だが、たいへん危険なものだ」と指摘。プルサーマル計画をすすめようとしている新潟県柏崎・刈羽原発を視察した経験も踏まえ、「MOX燃料は融点が低く、メルトダウンの事故などにつながる危険が高くなる。またプルサーマルでは制御棒の効きが悪くなるなどの問題もある」とその危険性を明らかにしました。
志位氏は、「プルトニウム循環利用も、プルサーマル計画も中止すべきだ。全国どこであれ危険なプルサーマル計画には反対だ」と表明しました。