2010年3月8日(月)「しんぶん赤旗」

水俣病

隠れた被害者いまなお

熊本 不知火患者会が検診


 水俣病不知火患者会(大石利生会長)は7日、水俣病の潜在患者を掘り起こし、救済につなげる「水俣病検診」を熊本県水俣市内、天草市内の2カ所で開きました。補償や救済の対象地域外の天草市倉岳町での「検診」では、56人中55人が水俣病の症状が見られるとされ、隠れた被害者がいまなお数多く存在することを示す結果となりました。

 検診は九州・沖縄の民医連の医師や職員らが協力。会場となった体育館には九つの診察室が設置され、問診ブースでは受診希望者が朝早くから列をつくりました。

 天草市栖本町で育ち、行商などから買った魚を多食してきたという50代の女性は、視野狭窄(きょうさく)や感覚障害などがみられ、診察した医師から「水俣病でほぼ間違いない」と診断されました。女性は視野が狭いため、車の運転も「スピードを出さないようにしている」と話します。腕には青あざができていましたが、「いつ、うったのかわからない」といいます。

 不知火患者会の瀧本忠事務局長は、「こうした検診は本来、行政がやるべきことだ」と話し、検診を通じて「地域と年代で救済や補償に線引きするいまの制度をあらためさせたい」といいます。

 診察にあたった藤野糺・水俣協立病院名誉院長は「潜在患者は10万人単位でいる」とみており、進行中のノーモア・ミナマタ訴訟の和解協議でも「すべての潜在患者の救済につながる和解が必要だ」と語っています。



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