2010年3月10日(水)「しんぶん赤旗」
マンション不在所有者の管理費どう考える?
〈問い〉分譲マンションの不在所有者の管理費上乗せを認める判決を最高裁が示しました。日本共産党の考えを教えてください。(大阪・一読者)
〈答え〉最高裁は今年1月、分譲マンションに住んでいない不在所有者の管理費を、管理にとりくむ“居住”所有者との公平性から、協力金として値上げを容認する判決を示しました。高齢化や賃貸住戸の増加による役員のなり手不足は多くのマンションに共通しており、これまで協力金について下級審の判断が分かれていたこともあり、この判決が注目されています。
最高裁は、協力金が月2500円と管理費等に比べて少ないこと、そして不在所有者約180戸のうち、訴えられた12戸(5人)以外は支払っているという事実をふまえて、協力金を徴収する規約改正は区分所有法で当事者の承諾が必要とされている、不在所有者の権利に対する「特別の影響」にはあたらず規約改正は有効としたのです。
今回の判決で、管理組合の自治が尊重され、マンション居住者の維持・管理のとりくみが積極的に評価されたことは重要ですが、現場での「活用」には注意と慎重さが必要です。とくに今回の最高裁も、判決の理由に不在所有者も含めた住民の合意をあげており、拙速な協力金徴収はトラブルのもとになるだけです。月2500円という金額も、それぞれのマンションの活動状況などをふまえるべきもので、「一人歩き」は危険です。
そもそもマンション役員のなり手不足は、協力金の徴収で解決するわけではありません。徴収する場合でも、その使い道の方が重要です。
管理組合の理事会をはじめ、住民が主体のマンション管理は、住民の目線での運営をはじめ、多くのメリットを持っています。コミュニティーの支え手を補って、そのような「住民が主人公」の管理のあり方を維持・発展させていくことこそ現在の課題です。それぞれのマンションがそれぞれの特徴をふまえたとりくみをすすめるためのツールが今回の判決で一つ増えたというように、大きな視点でとらえるべきだと考えます。(榛)
〔2010・3・10(水)〕