2010年3月11日(木)「しんぶん赤旗」
保育所
最低基準は国の役割
高橋氏に首相「認可充実が原点」
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日本共産党の高橋ちづ子議員は10日、衆院厚生労働委員会で、子ども手当法案に関連し、保育園の待機児童対策を口実にした国の最低基準の撤廃がねらわれていることについて、首相はじめ政府の姿勢をただしました。長妻昭厚労相は「全国どこに住んでも保障される最低の基準をもち、その上に地方自治体が上乗せするのが基本だ」と表明しました。
高橋氏は赤ちゃんの急死を考える会の調査を紹介し、1980年代ゼロだった認可保育所での死亡事故が2000年からの8年間で22件へと急増していると指摘しました。
さらに無認可保育施設「ちびっ子園」での乳幼児死亡事故での裁判で03年に東京地裁が「無認可保育施設への社会的需要にこたえ、極力多くの乳幼児を受け入れた」との弁護側の主張を退けて有罪判決を出したことを示し、「待機児童のためだといって、子どもの安全を守る最低限の基準さえ取り払うようなことがあってはならない。むしろ拡充すべきだ」と迫りました。
鳩山由紀夫首相は「保育所の基準は地域である程度自主的に定められることが大事だ」との立場に固執する一方、「質の確保された認可保育所を充実させることが原点に置かれなければならない」と答弁しました。
厚労省は昨年11月の赤ちゃんの急死を考える会の申し入れを受け、死亡事故の件数を調査するとともに、1月19日付で通知を出し、事故がおきたときの体制や症状などについて詳細な報告を求めることにしました。
高橋氏はその調査結果では1996年以降に認可保育所で35件、認可外で77件の死亡事故が起きているとして、「人手があれば防げた事故もある。人員確保が必要だ」「厚労省として最低基準は撤廃しないと表明すべきだ」と迫りました。
長妻厚労相は「憲法25条に国の役割として最低限度の生活を保障することだと規定されている。すべて最低基準も含めて地方に自由にさせたのでは、国の役割は果たせない」と答弁しました。
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