2010年3月18日(木)「しんぶん赤旗」
三菱重工
軍事ロケット部品輸出
武器三原則違反 吉井議員が追及
「米軍使用」防衛省認める
米軍の軍事衛星を打ち上げるロケットの部品として、三菱重工業が燃料タンクなどを製造・輸出していることは、「武器輸出三原則」に抵触する―。17日の衆院経済産業委員会で、日本共産党の吉井英勝議員が政府の姿勢をただしました。
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三菱重工が輸出しているのは米ボーイング社「デルタ4」ロケットのエンジンの液体水素(燃料)タンクや熱交換器など。吉井議員は、デルタ4が米軍の早期警戒衛星や偵察衛星、軍事気象衛星などを打ち上げていることを、防衛省の報告書にもとづいて確認しました。同省の大江博防衛政策局次長は「軍民両用だが、米空軍などが使用している」と認めました。
吉井議員は、軍事用ロケットの部品の輸出であり、武器輸出を禁じた武器輸出三原則に反すると指摘しました。
直嶋正行経産相は、武器輸出三原則の「武器」とは「軍隊が使用するもので、直接戦闘の用に供されるもの」で、その形状、属性から客観的に判断されるものだとして、デルタロケットの燃料タンクは「汎用品として、武器には該当しない」などと答えました。
吉井議員は、軍事衛星と結びついた無人攻撃機を使う現代の戦争の特質について説明し、「武器輸出三原則にのっとり、輸出しないことを明確にすべきだ」と迫りました。直嶋経産相は「ご指摘は、一つの考え方ではある」としながら汎用品であるとの答弁に終始しました。
防衛省宇宙予算 3年で1.4倍にも
10年度案609億円
吉井議員は、宇宙分野での軍拡が進行している実態についても質問しました。
宇宙関連予算のうち防衛省と情報収集衛星(事実上の軍事偵察衛星)関連予算を合計した“軍事分野”が、2008年の宇宙基本法成立以後、金額も比率も増加しています。
吉井議員は、とくに防衛省の宇宙予算が、08年度の423億円から10年度案の609億円へと、わずか3年で1・44倍に急増していることを指摘し、同法が宇宙軍拡のためのものだと批判しました。
宇宙軍事分野では、08年度予算が約1060億円(宇宙予算全体に占める割合33・6%)、09年度当初予算は約1222億円(同35・0%)、10年度予算案は約1245億円(同36・7%)となっています。
武器輸出三原則 国産兵器や軍事技術の輸出を全面禁止した、日本政府の方針(1976年に確立)。83年に対米軍事技術供与が例外化され、04年の「ミサイル防衛」(MD)導入に伴って関連兵器の日米共同生産、共同開発が例外化されるなど、空洞化が進んでいます。