2010年3月21日(日)「しんぶん赤旗」
“法人税引下げ競争”
タックスヘイブン改定を批判
大門氏
大門みきし議員は18日の参院財政金融委員会で、タックスヘイブン(租税回避地)対策税制改定について、「企業の事務負担軽減」を理由にした課税緩和と減税措置が入っており、「税逃れ」と他国の法人税率引き下げにつながると批判しました。
日本のタックスヘイブン対策税制は、企業などが、税逃れのために法人税の低い国に実体のない子会社をつくっている場合、日本の法人税が課せられることになっています。
大門氏は、今回の税制改定で課税対象を判断する基準となる「トリガー税率」が25%から20%へ引き下げられることが他国の法人税に与える影響について質問しました。
タックスヘイブン対策税制の対象になることを嫌う日本企業に配慮し、自国の法人税の下げ幅をトリガー税率を上回るぎりぎりに維持しているオランダの例をあげ、「トリガー税率を下げることはこれらの国の法人税率をさらに下げることにつながる」と批判。「法人税引き下げ競争に歯止めをかけるための国際協調を進めるべきだ」と主張しました。
峰崎直樹財務副大臣は個人的見解としつつ「世界各国の法人税の引き下げ競争は問題だ。国際的な引き下げ競争をとめる必要がある。G7やG20などで議論が必要だ」と述べました。
トリガー税率 ある国が税金逃れの「タックスヘイブン」であるかないかを判定する境目となる税率。海外にある子会社が所在国に払っている税の負担率がこの税率よりも小さいと、「タックスヘイブン対策税制」の適用を受ける可能性が出ます。同税制の適用を受けると、子会社の所得は、親会社の所得に合算され、親会社の国の税率が適用されます。
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